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バサルトという天然素材の繊維材が注目を集めている。主に中国やロシアの山脈で安定して採れる玄武岩を溶融解して紡ぎ、糸状にした上で日本に輸入している。樹脂をまとわせて、ロッド材や短繊維材としてコンクリートに入れる技術開発が急速に進む。

 「中国から購入するバサルトの糸の量は、例年1tに満たなかった。しかし、2019年は他社への供給が増え、一気に30倍になった」。こう明かすのは、福島市に本社のあるアルテクロス開発営業部の鴇巣(とうのす)健治部長代理だ。

 バサルトとは天然素材である玄武岩のこと(写真1)。主に中国やロシアの山脈で安定して採れる岩を溶融解して紡ぎ、糸状にした上で日本に輸入している。

写真1■ バサルト繊維のもととなる玄武岩。主に中国やロシアの山脈で採った岩を繊維にしている(写真:アルテクロス)
写真1■ バサルト繊維のもととなる玄武岩。主に中国やロシアの山脈で採った岩を繊維にしている(写真:アルテクロス)
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 織物の製造を手掛けるアルテクロスは、実は7、8年前の旧社名の日東加工時代に、積水フイルムなどと共同でコンクリートの中にバサルト繊維を混ぜて補強する技術開発を進め、特許を出願している。しかし、アルカリに溶けてしまうバサルト繊維の致命的な弱点を克服できずに、開発を中断していた。

 ところが近年、土木構造物にバサルトを利用するブームが建設業界で再燃している。アルカリ耐性のある樹脂を含浸させたバサルト繊維強化プラスチック(BFRP)が登場したためだ。アルテクロスのバサルト繊維の輸入量が30倍に増えたのも、その影響が大きい。

 「繊維強化プラスチック(FRP)にするとアルカリ耐性が上がるだけでなく、強度がかなり増す。顧客からはガラス繊維よりも強いという理由で使ってもらうことが多い」(鴇巣部長代理)。同社では耐熱・耐酸性に強い繊維シートとして売り出す他、BFRPでパイプを試作するなど意欲的だ(写真2)。

写真2■
BFRPでクロスを織っている様子(写真:アルテクロス)
BFRPでクロスを織っている様子(写真:アルテクロス)
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BFRPによる試作品のパイプ(写真:アルテクロス)
BFRPによる試作品のパイプ(写真:アルテクロス)
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