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腐食しないアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)をロッド材にして、橋の緊張材に使用しているのが三井住友建設だ。1990年に架設した橋に使った実績がある。約30年経過後に切り出して耐久性を確認したところ、引張強度は当時とほぼ変わらず。AFRPの普及に弾みが付くか。

 腐食しないアラミド繊維強化プラスチック(AFRP)のロッド材を橋の緊張材として、長年研究している三井住友建設(写真1)。今から約30年も前、重量トレーラーが通る環境下にAFRPロッドを緊張材とする中空プレテン単純桁を架設した(写真2)。

 2018年には、同橋の一部を切り出してAFRPの耐久性を確認するという世界でも珍しい試験を実施している。

写真1■ アラミド繊維。強化プラスチックのロッド材は、比重が鋼材の6分の1程度、単位面積当たりの引張強度がPC鋼より線と同等の物性値を持つ(写真:三井住友建設)
写真1■ アラミド繊維。強化プラスチックのロッド材は、比重が鋼材の6分の1程度、単位面積当たりの引張強度がPC鋼より線と同等の物性値を持つ(写真:三井住友建設)
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写真2■ 1990年に、AFRPのロッド材を緊張材に使い橋桁を架設した。場所は関連会社の二次製品工場内(写真:三井住友建設)
写真2■ 1990年に、AFRPのロッド材を緊張材に使い橋桁を架設した。場所は関連会社の二次製品工場内(写真:三井住友建設)
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 「コンクリートとの接触面は部分的に色が変わっていたが、AFRPの母材自体は全然問題がなかった。引張強度は30年前に実施した試験の平均値とほぼ同じだった」。こう話すのは、三井住友建設技術本部技術研究所の浅井洋副所長だ。ただし強度が全く低下していなかったことがあだになり、時間経過に伴う強度の低下量を推定できなかったのは、誤算だったようだ。

 試験では、緊張材に残るプレストレス力も確認した。すると、約30年前に推定した計算値と同程度だと分かった。

 近年、コンクリート構造物へCFRPを適用する技術開発が目立つ。それでも同社がAFRPだけにこだわるのには、理由がある。

 「30年前から合併前の旧三井建設と旧住友建設は、いずれもアラミド繊維の開発に熱心だった」と浅井副所長は明かす。両者の合併でそのノウハウに磨きがかかった。

 同社がAFRPに注目する理由は他にもある。緊張材として使った際の構造物の壊れ方だ。

 例えば、AFRPはCFRPなどよりもヤング係数が小さく、伸びやすい。そのため、AFRPを緊張材に使った橋梁は壊れる際に、脆性破壊せずにたわむ。降伏点を超えて最終的には伸びる鋼材と近い壊れ方をする。目視で変状が分かるため、いざというときのリスクヘッジにつながる。