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ステンレス鋼材の上位互換となる鋼材が普及している。高強度でかつ合金の量を抑えた省資源型の「二相ステンレス鋼」だ。溶接しても従来のステンレス鋼の母材以上の強度を持つ。塩害の恐れがある環境下で続々と使用され始めている。

 鋼材はさびる──。この弱点を克服すべく、土木技術者は塗装したりさびにくい鋼材を開発したりしてきた。今では、さびにくさだけでなく、希少な資源の利用を抑えつつコストも減らせる「スーパー鋼材」が生まれている。

 その正体は、ここ数年で東京を流れる川沿いの水門や橋に次々と採用されている「高強度・省資源型二相ステンレス鋼」だ。荒川の支流にある上平井水門の耐震工事では、扉体部約333m2に日鉄ステンレスSUS323Lが採用された(写真1)。

写真1■ 上平井水門の3・4号の耐震補強工事の様子。門扉にSUS323Lを採用している。2019年11月に撮影(写真:日鉄ステンレス)
写真1■ 上平井水門の3・4号の耐震補強工事の様子。門扉にSUS323Lを採用している。2019年11月に撮影(写真:日鉄ステンレス)
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 「東京都建設局の江東治水事務所管轄の水門では、第1世代の材料が塗装した一般構造用鋼、第2世代が従来型のステンレス鋼、そして現在、第3世代としてSUS323Lが標準採用されている」。こう説明するのは、日鉄ステンレス商品開発部の江目(ごうのめ)文則上席主幹だ。

 鉄に10.5%以上のクロムを加えたステンレス鋼は、ニッケルを含むオーステナイト系と含まないフェライト系に分かれる。前者は溶接しやすいがコストが高く、後者は真逆の性質だ。両系統の長所を備えるように配合したものが、二相ステンレス鋼と呼ばれる。

 さらに長所をそのままに、全体の合金量を減らして、コストも抑えたのが省資源型だ。

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