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 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年4月7日には7都府県、同16日には全国への緊急事態宣言が出されました。20年5月25日には全国で解除されましたが、サービス業や観光業をはじめ、さまざまな業界が経営難に陥りました。一時はメーカー大手の東芝が国内全拠点を原則休業するなど、新型コロナ禍の経済影響は大きなものとなりました。

 実際には新型コロナウイルス感染症流行の影響は、緊急事態宣言以前からじわじわと広がっていました。20年3月には日経平均株価は2万円を下回り、投資を抑えて必要最小限の事業投資にとどめる企業が増えています。変動費は即削減され、次第に固定費のカットに着手する企業も出てきました。採用人件費が削減の対象となってもおかしくありません。

 一方で、筆者が所属するアスタミューゼが運営する転職サイトでは、エンジニア職の転職希望者は増加傾向です。新型コロナウイルス感染症への各企業の対応に不安を感じ、転職を目指すエンジニアが増えたと考えられます。登録会員へのアンケートでは「仕事を通じて社会課題への解決意識が高まった」(回答者全体の42.7%)、「社会課題を解決できる仕事を意識する」(同63.2%)といった回答が多く、働く意味や目的にも影響が出始めているようです。

 このように厳しい経済状況の中で、転職希望者がリーチすべき業界・職種はどこなのでしょう。当社の運営する転職サイトで20年2月に比べて同4月の求人募集数がどの程度増減したか、専門分野11領域についてまとめたのが下の表です。

11種類の専門分野における求人募集数の変化
分野20年2月と同4月での求人募集数の変化
エネルギー94.5%
医療・健康180.5%
モビリティー75.2%
航空宇宙・海洋開発80.1%
食糧・水・土壌・資源 91.8%
農業・食品工業93.1%
都市・空間・材料 94.1%
ネット・サービス96.7%
情報通信92.7%
生活・文化の拡張 95.4%
エレクトロニクス75.9%

 募集数が伸びているのは「医療・健康(180.5%)」、逆に大きく減っているのは「モビリティー(75.2%)」「エレクトロニクス(75.9%)」です。今回は変化の大きかったこの3領域に注目して、転職市場の傾向を分析していきます。