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求人から見るデータエンジニアを必要としている業界は?

 データエンジニアはどんな業界で必要とされているのでしょうか? 2019年6月1日から2020年5月31日までの求人データを見てみると、「データエンジニア」という名称での求人数は22件にとどまりました。ちなみに、同期間のデータサイエンティストの求人数は350件。つまりデータエンジニアの人材ニーズ規模は、データサーエンティストの約6%にとどまります。

 しかし、データ分析市場全体へのニーズの拡大から推測すると、データエンジニアの求人は今後、伸びていくと考えられます。どんな業界からの引き合いがあるのか、22件の求人を基にチェックしておきましょう。

データエンジニアを募集している業界と募集人数
データエンジニアを募集している業界と募集人数
(出所:アスタミューゼ)
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 データ分析基盤の整備がいち早く進んでいる「IT・通信」系の業界でデータエンジニアのニーズが多いのは想定通りです。一方、筆者が興味深いと捉えたのは「運輸・物流」と「エネルギー」の業界からの求人が一定数あることです。「運輸・物流」ではタクシー会社が、「エネルギー」では石油などの資源開発会社がデータエンジニアを募集しています。近年では、パソコンやスマートフォン以外のさまざまなものから集めたデータを分析し、事業に役立てる動きが出てきています。タクシー会社なら運行データなどを基に配車をスムーズに進める、石油などの資源発掘現場なら機器に付けたセンサーのデータを基に現場の運用を効率化する――といったニーズがあるのかもしれません。

 比較のため、同時期の求人からデータサイエンティストを募集していた業界をグラフにまとめました。上位の3業界はデータエンジニアとほぼ同じ顔ぶれですが、それ以外はあまり類似性がなさそうです。

データサイエンティストを募集している業界と募集人数
データサイエンティストを募集している業界と募集人数
(出所:アスタミューゼ)
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 データサイエンティストの募集を出しているにもかかわらず、データエンジニアを募集していない業界は、後追いで求人数が増える可能性があります。とはいえ、その中でもマクロトレンドでデータ活用が進んでいる領域は、すでに必要なデータエンジニア人材の獲得を終えている可能性が高いと考えられます。例えば化学領域の「マテリアルズ・インフォマティクス」や、教育領域における「EdTech」などです。それ以外の業界に注目し、今後データエンジニアの求人がないかチェックするとよいでしょう。

気になるデータエンジニアの年収は?

 続いては、今後のキャリアとしてデータエンジニア職を検討するにあたって、誰もが気になる年収をまとめました。利用したデータは先ほどと同じです。現実にあったデータエンジニアの求人を基に、業界ごとに最低提示年収と最高提示年収をプロットしています。

データエンジニア求人の最低提示年収と最高提示年収を業界別にプロットしたもの
データエンジニア求人の最低提示年収と最高提示年収を業界別にプロットしたもの
(出所:アスタミューゼ)
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 上限、下限とも業界ごとに差があるのは当然として、注目は「エネルギー」業界です。最低提示年収は他業種に比べて最も高く、最高提示年収もデータ内で最高クラスになっています。これは石油・ガス産業は1回の投資額が多大であり、油田の探鉱(試し掘り)段階における機械学習やデータ活用の成果が業績に大きな影響を与えるためだと思われます。こうした資源関連の業界において、データエンジニアやデータサイエンティストの価値が飛躍的に高まっているのです。

 データ活用の影響がそこまで大きいとはいえない「飲食・外食」などの業界の場合は、(ビジネスモデルによってさまざまなパターンが考えられるとはいえ)年収は相対的に低くなる傾向が強いでしょう。タクシー会社など「運輸・物流」業界も飲食と同様の傾向と考えられます。