全3615文字

 参考に、アスタミューゼで別途調査したAIエンジニア・データサイエンティストの年収分布も見てみましょう(2019年6⽉1⽇から2020年5⽉31⽇の求人データを基に集計)。データサイエンティストの最高提示年収としては2000万円が提示されるケースもあるようです。さきほどのデータエンジニアの最高提示年収と比較して、1000万円ほどの開きがあります。

データサイエンティストの最高提示年収(求人の割合)
データサイエンティストの最高提示年収(求人の割合)
(出所:アスタミューゼ)
[画像のクリックで拡大表示]

 ちなみに米国の求人データベース「Glassdoor」によると、データサイエンティストの平均年収11万3309米ドル(約1190万円)に対して、データエンジニアは10万2864米ドル(約1080万円)と、極端に大きな開きはありません。先ほど2つの職種に1000万円もの差があったデータは日本国内の最高提示金額、こちらは米国での平均年収なので単純に比較することはできません。とはいえ、今後データエンジニアの名称が広まってその重要性が認識されれば、米国における平均年収のデータが示すように「平均値にならすとデータサイエンティストと近い金額」にまで給与が伸びる可能性はありそうです。

 データエンジニアの需要は、今後も緩やかに伸びていくと思われます。伸びが緩やかな理由は、以下の2点です。

  • データエンジニアのニーズは、データ分析をある程度進め、データ分析基盤の整備の重要性を認識した企業(つまりデータ分析にある程度時間をかけた企業)で高まりやすい
  • データエンジニアはデータサイエンティストに比べ、すでに社内にいるエンジニアからの育成・転身がしやすいため、転職市場ではニーズが表面化しにくい

 データエンジニアの必要スキルセットとしては「Hadoop」「Spark」といった分散処理技術の他、RDB(リレーショナルデータベース)やKVS(キーバリューストア)などのデータベース、一連のワークフローを管理する「Airflow」「Digdag」など、各種ミドルウエアとそれを支えるインフラ・クラウドサービス周辺の知識・経験が必要不可欠です。これらは企業の他のサービス開発で使っているというエンジニアが少なくありません。また、データエンジニア以前にデータベース管理システムの整備を担うDBA(データベース管理者)という職種もあり、そこからより大きなデータ分析基盤の構築を担うデータエンジニアへのキャリアパスを見いだすこともできるでしょう。

 上に挙げたような技術を日常的に活用している方は、改めてデータエンジニアとしてのキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。

白木 陽次
アスタミューゼ 取締役
大学在学中に代表の永井歩とともにパテントビューロ(現アスタミューゼ)を設立、取締役に就任。データ基盤構築を推進しつつ、全社のデザイン責任者として人材関連のプロダクト・サービスのプロジェクトを指揮する。