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給与相場が首都圏と大きく変わらない技術職領域

 ITや通信の領域において、どのような求人が全国で出ているか見てみましょう。下の表はアスタミューゼが保有する約60万件の求人票データから、全国政令指定都市における技術職(SE、インフラエンジニア、Webエンジニア)を抽出し、それぞれに記載されている最低・最高年収を首都圏(1都3県)の相場と比較したものです。

IT技術職(SE、インフラエンジニア、Webエンジニア)における首都圏と他の政令指定都市の年収比較。アスタミューゼが保有する求人票を基に作成。年収の単位は「万円」
IT技術職(SE、インフラエンジニア、Webエンジニア)における首都圏と他の政令指定都市の年収比較。アスタミューゼが保有する求人票を基に作成。年収の単位は「万円」
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 大阪市、名古屋市、福岡市、意外なところで熊本市などでは、提示されている最高年収は首都圏の90%台です。首都圏と大きくは変わらないことが分かります。一方、全職種の傾向では最も下落幅が少ない大阪市でも給与は首都圏の89.7%にとどまります(下表)。つまりIT系の技術職は、他の職種に比べると首都圏を離れた際の給与の下落幅が少ないのです。収入という観点で、他の職種に比べて幅広い居住地を選びやすいことを示唆しています。

全職種における首都圏と他の政令指定都市の年収比較。アスタミューゼが保有する求人票を基に作成。年収の単位は「万円」
全職種における首都圏と他の政令指定都市の年収比較。アスタミューゼが保有する求人票を基に作成。年収の単位は「万円」
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 また、IT系の技術職は基本的に工場などの生産現場、医療職における病院のように「現場」に縛られることはなく、リモートワークしやすい職種です。現在の生活スタイルを変えることなく、別の居住地へと移ることを考えやすい環境といえるでしょう。

 地方に移住した場合、生活費はどう変わるのでしょうか。生活費の中で大きな割合を占める住居費で比較してみましょう(下表)。総務省が公開する「小売物価統計調査(構造編)」(2019年に実施した調査結果)によると、政令指定都市がある自治体の住居物価指数は、東京都と比較して約7割で済みます。東京都から転出して年収が少し下がったとしても、地方に移住したほうが可処分所得の面では有利になりそうです。

東京都と政令指定都市のある都道府県とで住居物価指数を比較。総務省が公開する「⼩売物価統計調査(構造編)」(2019年に実施した調査結果)を基に筆者が作成
東京都と政令指定都市のある都道府県とで住居物価指数を比較。総務省が公開する「⼩売物価統計調査(構造編)」(2019年に実施した調査結果)を基に筆者が作成
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 「移住直前に5年以上東京圏に居住し、移住後の5年にわたる居住意思がある」など、いくつかの条件をクリアすれば単身で最高60万円、世帯で最高100万円の補助金が受けられる、内閣府主導の「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」も、今後ますます東京からの転出を後押しするのではないでしょうか。

 では地方への転職の意向がある人は、実際にどんな求人内容に引かれているのでしょうか。