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 2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、「自分は仕事を通じて社会でどんな役割を果たせるのだろうか」と求職者の間でも社会課題に対する意識が高まった1年でした。企業側でもCSR(社会的責任)活動としてだけでなく、本業で社会課題を解決することを目指した挑戦が始まっています。そこで今回は企業が取り組む社会課題と、求職者の関心が高い社会課題は何かについてデータを基に見ていきましょう。

 筆者が所属するアスタミューゼでは、世界80カ国の新事業、研究開発、特許情報などを集積した約2億件のデータベースを分析し、未来に向けてビジネスで解決すべき社会課題を11種類・105項目に分けて独自に定義しています。

 この定義を基に、当社の転職サービス「SCOPE」上で、国内企業がどんな社会課題に挑戦しているかを調べられる「課題解決企業データベース」機能を公開しました。「課題解決企業データベース」では約4000の国内企業の事業や出願済み特許の内容を分析し、各社がどのような社会課題に挑戦しているか(あるいは挑戦可能か)をリストアップしています。中小規模で優れた技術や理念を持って事業に取り組んでいる企業を、求職者が見出しやすくするのが狙いの1つです。

 今回は「課題解決企業データベース」のデータから、日本各地の企業がどんな社会課題に取り組んでいるのかを紹介します。また、「SCOPE」に登録している転職希望者はどんな社会課題に関心が高いのかも見ていきます。

 まず、全国の企業が取り組んでいる社会課題、上位10項目を見てみましょう(下の表)。算出に当たっては、全国の約4000企業を対象に「保有する特許」と「Webサイトをはじめとする公開情報から分かる事業内容」を分析してスコアリングし、各種の社会課題に対するマッチングを行いました。企業ごとにマッチした上位3つの社会課題を「その企業が取り組む(あるいは取り組むことが可能な)社会課題」として集計しています。

全国で約4000社のデータ分析から求めた、いま取り組んでいる社会課題のランキング
全国で約4000社のデータ分析から求めた、いま取り組んでいる社会課題のランキング
(出所:アスタミューゼ)
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 全国の約4000の企業が最も多く取り組んでいる社会課題は、「地産地消社会の形成により省資源産業を拡充する社会を実現する」となりました。これは食料や生活必需品などを地産地消で調達するコミュニティーを形成することで、省資源産業の拡充を実現するといった取り組みを指します。地域内で生産・消費活動が循環するため、廃棄物の削減や雇用の創出といった効果も見込めます。事業に地域の特性を生かすことで、文化振興や産品販促などが進んでコミュニティーの一体感が高まり、持続可能な産業に支えられた豊かな地域を育むことにつながります。

 「課題解決企業データベース」でこの課題に取り組む企業を具体的に見ていくと、素材や原料、建築資材や食品製造・加工をメーカーが多いようです。