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 日本政府が2020年4月7日に「緊急事態宣言」を発令しました。多くの企業が在宅勤務で業務をこなしていますが、業種によっては在宅勤務が難しく、出勤せざるを得ない部門もあると思います。中でも、設計開発部門は在宅勤務が難しい業種の代表格と言えるでしょう。その理由として挙がるのはこうです。

[1]CADソフトウエアやシミュレーションソフトウエアは、会社に設置した専用パソコンでしか動かせない。

[2]多くの設計者の合議によって設計内容を検討しなければならない。

[3]進捗報告など、文書に書き表すのが難しい内容が多い。

[4]試験や評価は会社に行かないとできない。

 確かに、[4]の試験や評価には専用の設備や機械がどうしても必要なので、会社に行かなければ業務をこなせないでしょう。しかし私は、[1]~[3]については在宅勤務で十分に実施できると考えています。

 部品点数の多い製品ほど、設計に多くの設計者が参加します。たくさんの設計者が関わっていると、「それぞれの機能ユニットの設計内容について、他の設計者の進捗や設計内容を十分に確認しながら進めなければならない」――。そう考えていませんか。

 結論から言えば、トヨタ自動車ではそうは考えません。なぜなら、「設計基準」があるからです。

 全ての機能ユニットに設計基準があれば、その設計の考え方や判断は、1つの基準で進められます。すると、「他の設計者がどうしているか」や「どのような結果を出しているか」、「どのような設計内容となっているか」といったことを気にしなくても、問題が起きることはありません。

 全ての設計が、機能用ニットごとに決められた1つの基準や考え方を基に進んでいく。そうなっていれば、他の部位の設計内容や結果など気にしなくても問題は起きないのです。

 決められている設計基準の通りにいかないときに、初めて他のユニットの設計者と相談する必要が出てくるのです。例えば、「設計基準に沿って進めてきたけれど、どうしてもクリアランス(隙間)をもう少し小さくしなければ、機能や性能を実現することができない」という問題に直面したとします。そこで初めて他のユニットの設計者に対し、「このクリアランスの分、小さくすることができないか」などと相談するのです。

 ただし、設計基準を簡単に変えることはできないということを前提に設計を進めていかなければなりません。簡単に変えてもよいというのでは、基準にはならないからです。