全1636文字
PR

 皆さんは製品の使用環境についてどう考えていますか。私が前職で扱っていた製品は自動車だったので、さまざまな使用環境を想定して評価や確認を行っていました。さらに言えば、評価だけではなく、設計仕様に至るまで使用環境の変化を想定して内容を検討していかなければなりませんでした。

 実は、日本と米国で同じ自動車を販売する場合、最も影響するのは道路事情です。例えば、ロサンゼルスなどがある西海岸は、東海岸のニューヨークなどとは異なり、車線が多くて信号間の距離が長いという特徴があります。一方、日本はどうでしょうか。日本の場合は、米国ほど信号間の距離がなく、車線も少ない。これがどのように設計仕様に反映されていくのでしょうか。

 例えば、アクセルのレスポンス。米国の場合は、信号間の距離が長いため、アクセルを強く踏んで目標とする到達速度に一気に達してから、アクセルを緩める傾向があります。こうした運転の仕方は、信号間の距離が長いために生まれた運転手法でしょう。

 同じような運転手法を日本で試したらどうなるでしょうか。信号間の距離が短いため、アクセルを強めに踏んでも、すぐに次の信号に引っ掛かってしまいます。その結果、アクセルとブレーキのオン/オフが激しくなり、同乗者に不快感を与える可能性が生じます。

 このような違いから、[1]アクセルを多少大きく踏んでもあまりスピードが上昇しない(エンジン回転数が上がらない)仕様と、その逆で[2]アクセルを踏むとすぐにスピードが上昇する(エンジン回転数が上がる)仕様の2種類を検討しなければならないのです。ただし、アクセルを踏んでスピードが上昇しやすい仕様にしてしまうと、飛び出し感を覚える可能性があるため、十分な注意が必要となります。

 このように、製品が使用される環境次第で仕様の違いが発生する可能性があるため、設計者は製品がどのような環境で使用されるかをしっかりと確認しなければなりません。

 製品の使用環境の違いにより、設計仕様を変更しなければならない理由は十分に理解してもらえたと思います。では、こうした使用環境はどのタイミングで検討しなければならないでしょうか。

設計書の基本構成
設計書の基本構成
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]