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 皆さんの会社には、設計業務に関して「技術伝承」の仕組みがありますか。いまだに「上司や先輩の背中を見て覚えなさい」「図面の描き方を見てノウハウを盗むんだ」などと言ってはいませんか。つまり、技術を伝承される側(若手設計者)が知識やノウハウを身に付けるために自ら行動するのを待つか、そうでなければOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を若手設計者に受けさせる。これで「我が社の技術はきちんと伝承できている」と考えてはいないでしょうか。

 この方法を全否定するわけではありません。自発的に動いて「技を盗む」という考え方も重要です。若手設計者が成長するために必要な要素の1つだと思います。

 しかし、現在生み出されている多くの製品はたくさんの機能を有しています。複雑な機械構造に加え、センサーなどのデバイスも絡んで、全体のシステムを把握するだけでも非常に多くの経験が必要となります。

 こうした状態で、今までと同じようにOJTを中心とした方法で正しい技術伝承ができるでしょうか。答えは「ノー」です。一部の技術ノウハウは伝承できたとしても、全ての技術ノウハウを伝承することは難しいでしょう。

 では、どのようにすべきなのか。技術伝承の「あるべき姿」を考えていきましょう。

[1]製品機能を明確化する

 先述の通り、現在の製品はたくさんの機能を有しています。しかし、それらの全ての機能について、設計者としてはきちんと把握しておかなければなりません。たとえその製品の設計に携わった経験がない場合でも、です。そんなことができるのでしょうか。これを可能にするのが、「見える化」です。各製品が保有する全ての機能について見える化するのです。

 具体的な方法として、機能系統図を作成します。ここで、事例として自動車の吸気ユニット(全部品ではありません)を取り上げ、その簡易的な機能系統図を使って分かりやすく説明していきましょう。

自動車の吸気ユニットの機能系統図
自動車の吸気ユニットの機能系統図
(出所:A&Mコンサルト)
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 吸気ユニットに必要な機能を一覧にし、機能を細分化していきます。これ以上細分化できない状態になったら、それが末端機能です。この末端機能を部品(末端機能=部品)に置き換えていくことになります。

 続いて実施するのは、末端機能を実現するための部品にどのような構造のものがあるかを調査することです。機能が同じでも、異なるレイアウトの車両に取り付けるためにブラケットの形状が違っていたり、ボルトを取り付けるための穴の位置が異なっていたりと、多くの類似部品が存在するはずです。まずは過去の全ての部品を列挙し、それらの差異を確認します。