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 新型コロナウイルス感染症で2度目となる緊急事態宣言が発令されました。テレワークがさらに加速する流れになっています。ところが今、多くの企業から「テレワークでのコミュニケーションに悩んでいる」という声が聞こえてくるようになりました。

 慣れない環境の中で、これまでと同じやり方で業務を推進していくのは難しく、今の環境に合わせた新たな仕組みやシステムが必要となってくるでしょう。こうした企業全体の問題から焦点を絞り、設計者にとって最もコミュニケーションが必要な部分について考えてみたいと思います。

 設計者の業務は、単に図面を作製することではありません。各部門と連携を取りながら、市場ニーズに合致する製品を創造していくことです。設計者独りでは市場が求めている製品はできない上に、自分勝手な図面を出図してしまうと、後工程である生産技術部門や製造部門で多くの手直しを要してしまいます。

図●設計者の在り方の基本原理
図●設計者の在り方の基本原理
(作成:筆者)
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 は、設計者の在り方の基本原理を示した図です。この基本原理で分かるのは、製造業の会社で製品を創造して市場に出す業務は、設計部門が中心となって進めていく必要があるということです。特に製造部門(生産技術も含む)や購買部門とは深い関係にあり、常に連携、すなわちコミュニケーションを取って進めていかなければなりません。

 では、さまざまな内容のコミュニケーションをどのようにして取るのでしょうか。現在の業務でどのようなコミュニケーションを取っているか、少し考えてみてください。私のクライアント企業では、次のようなコミュニケーションしか取れていないというのが現状です。

  • 設計終了後、図面と部品表を提出する。
  • 図面に合わせて、顧客からの要求仕様書や製作仕様書を図面の添付資料として提出する。
  • 組み立て方法や注意点を口頭で連絡する。

 これだけの情報で、本当に品質を担保した製品の生産が可能でしょうか。できる企業があるとしたら、それは、製造部門にノウハウを十分に蓄積したメンバー(要は、ベテラン)がたくさん所属しており、図面を見ただけで組み立てや加工に対応できるからではないでしょうか。

 では、そうしたベテランが退職してしまったら? 設計者に多くの問い合わせがあり、現場に設計者が出向かなければ生産できない状態になってしまうことでしょう。そうなってからでは「時、既に遅し」です。

機能設計図面だけでは足りない

 これを防ぐために必要なのが、生産できる状態の図面、すなわち生産設計図面の作製です(後述)。いわゆるベテランと称される人が限られたコミュニケーションや情報からでも製品を造れるのは、長年の経験や知見から頭の中に生産設計図面を描けるからです。

 設計者の在り方の基本原理の図にも示した通り、図面には2種類があります。[1]機能設計図面と[2]生産設計図面です。

 [1]の機能設計図面は、市場のニーズを創造するためにどのような機能が必要なのかを考え、その仕様を落とし込んでいく図面です。一方、[2]の生産設計図面が、製品を形にするために必要な内容を落とし込んだ図面です。