全2670文字
PR

 今、半導体不足が叫ばれています。この影響を受けて、半導体のEnd Of Life(EOL;生産終了)への対応にこれまで以上に苦慮している製造業は増えているのではないでしょうか。EOL品になると分かると、買い手はラストオーダーで多数の発注をかけなければなりません。これによって多くの在庫を抱えることになり、キャッシュフローにも大きな影響が出てしまいます。半導体に限らず、部品・部材のEOLは製造業にとって大きな問題の1つです。

 既存製品の場合は、EOL品の代替品を選定し、それを組み込んで評価して使用するしか方法はありません。新製品やマイナーチェンジ製品を開発する際には、EOL品について検討しておかなければ、最悪の場合、製品開発の終了後にすぐに部品・部材がEOLとなってしまい、再度、代替品の選定や評価を行わなければなりません。すると工数が圧迫され、新製品やマイナーチェンジ製品の開発設計に時間を割くことができなくなってしまいます。これが今、設計者が陥っている現実です。

EOL対応のために構築すべき仕組み
EOL対応のために構築すべき仕組み
(作成:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 いくらフロントローディングでFMEA(故障モード影響解析)やDRBFM(故障モードに基づく設計審査)を実施しても、EOLになる可能性を抽出できなければ意味がありません。さらに言えば、故障モードの中でEOLを抽出することはできないので、設計品質ツールを使っても、EOLに関連する内容については抽出できません。そのため、EOLの情報が入ってから慌てて変更を検討する状態になっています。

 もちろん、部品・部材メーカーがいつEOLにするかを完璧に予測することはできません。新しい部品・部材の発表時に、完璧とはいかないまでもEOLの日程の予測を立てるしか方法はありません。これをいつまでも設計担当者の感覚だけに頼っていては、後で痛い目に遭う可能性があります。

 今こそ、全社を挙げてEOL対応の仕組みを確立しましょう。仕組みを構築する部門は、[1]営業部門と[2]設計部門、[3]購買部門の3部門です。

仕組みを構築すべき3部門とその内容

[1]営業部門

 営業部門で構築すべき仕組みは次の2点です。

①販売・受注計画の立案

②製品のライフサイクルからマイナーチェンジおよびフルモデルチェンジの時期の検討

 特に、②の製品のライフサイクルからの検討が非常に重要となります。受注生産の企業は、製品のライフサイクルを意識してマイナーチェンジやフルモデルチェンジを検討することは少ないかもしれません。しかし、今の世の中に合わせて、以前から製造されている製品がこれくらいのタイミングで変わりそうだと予測することは可能だと思います。顧客によってもたらされる情報から、変化するタイミングを予測するのです。

 この予測により、製品が切り替わるタイミングが分かるので、①の販売・受注計画の立案で、それぞれの製品を何台生産しなければならないかを予測できるようになります。この情報を基に、設計部門は選定した部品の採否を決められるようになるでしょう。