全2239文字
PR

 設計改革を進めていると、こんな困り事を聞くことがよくあります。

「フロントローディングって言うけれど、設計時にやることが増えてない?」
「設計改革をプロジェクトで進めているようだけど、そのプロジェクトで決まった内容を実施しても、工数が減るようには思えない」
「不具合対応で忙しいときにフロントローディングなんて実施できない」
「DRBFM(故障モードに基づく設計審査)なんて面倒くさいから、資料を適当に作ってDR(設計審査)に提出すればいいや」

 皆さんもこうした言葉を聞いたことはありませんか。何かを改革する場合は、これまでとは異なる仕事をしなければなりません。そのため、面倒だと感じることがきっとあるでしょう。これがまさに、「フロントローディング改革(DRBFM・FMEAの実施)」の落とし穴です。フロントローディングの本当の目的をしっかりと設計者全員に説明しないと、「やっつけ」の仕事になってしまい、本当に負荷が増えるだけで、何も改善しません。

 ここで、フロントローディングの定義を確認しましょう。フロントローディングとは、「製品開発のプロセスで業務の初期工程に負荷をかけ、作業を前倒しで進める手法。できる限り早い段階で多くの問題点やリスクを洗い出し、対策を講じて、初期段階から設計品質を高めること」です。

図●フロントローディング
図●フロントローディング
(作成:筆者)
[画像のクリックで拡大表示]

 横軸に工程を、縦軸に負荷(設計者の工数)を取ってフロントローディングを表してみました()。このように、設計の初期段階に負荷をかけることにより、設計品質レベルを高めます。その結果、設計途中で発生する図面の描き直しや評価のやり直しなどが減少し、量産スタート時点で設計での初期不良が大幅に減少します。

 最も工数を有するのが、まさに量産段階の初期の部分。このタイミングで不良を発生させてしまうと生産ラインが止まってしまいます。製品の製造を止めないためにも、対応策を早急に検討しなければなりません。

 こうした不具合は本来発生してはならないものであり、設計の初期段階で問題の未然防止策を検討できていれば、対応しなくても済む不具合です。量産段階の初期の部分に工数をかけている現状から脱却しましょう、というのが本来のフロントローディングの意義です。

 また、フロントローディング改革において重要なツールであるDRBFMやDRも、単なる資料作成やイベントの意味で実行してしまうと効果は得られないでしょう。

 皆さんが対応している不具合の工数を確認してみてください。たくさんの工数が発生しているのではないでしょうか。また、不具合が発生した際の損失金額を計算している企業もありますが、その中に設計者の対応工数が含まれていないことがよくあります。しかし、実際は、多くの金額がこの不具合対応に使われてしまっています。コスト削減を検討する前に、こうした不具合を減らすことに取り組まないと、ほかの部分でコストを減らした意味がないほどの損失となってしまいます。

 では、フロントローディング改革を効果的に、かつ設計者が納得する形で進めるにはどのようにしたらよいでしょうか。