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 設計改革やモジュラー設計の導入(3D-CAD導入も含む)で設計効率の向上を狙うなら、やはり、標準モデルの設定や、過去の設計内容を流用しやすいように整理することが近道です。そうした改革を進めるに当たって最初に検討しなければならないのは、顧客の要求がどのような内容で、その結果どのような製品を設計してきたかです。この内容を各企業のどの設計者でも使用できる状態になると、設計効率は格段に向上するでしょう。

 顧客の要求は、要求仕様書や製品企画書にまとめられることが多く、その内容を基に設計をスタートさせます。しかし、ここで少し立ち止まって考えてください。「顧客はその企業の製品のことを本当に知っているのだろうか」と。知っていたとしても、カタログに記載されている基本的な製品の性能や、概要的な構造程度ではないでしょうか。

顕在ニーズでは何を望んでいるのか分からない

 過去に製品を使用している顧客の場合は、過去の製品について、動作の詳細な動きまで理解している可能性はあります。しかし、さらに詳細な内容、例えばどのようなOリングを使用しているのか、どのようなオイルを使用しているのか、といったことまでは把握していないはずです。

 こうした詳細な点まで把握していない顧客の要求通りに設計して、本当によいのでしょうか。また、その顧客が望む性能や品質はその要求を実行すれば確保できるのでしょうか。答えは「NO」です。

 顧客が要求する内容はあくまでも「顕在ニーズ」であり、「潜在ニーズ」ではありません。顕在ニーズとは、顧客が話す上辺だけの情報です。本当のニーズ、すなわち潜在ニーズは語られないでしょう。例えば、顧客が「速いクルマが欲しい」と言っているとします。この「速いクルマ」とは、何を示しているのでしょうか。この言葉だけでは、何のことなのかさっぱり分かりません。

 「速いクルマ」は、クルマを使う目的によって大きく変わってくるはずです。例えば、0km/hから60km/hに達するまでの時間が短いクルマが欲しいのか、速く見える格好良いクルマが欲しいのか、はたまたカタログ値の馬力が高いクルマが欲しいのか、要求はさまざまです。設計者は営業部門などの情報を聞きながら、顕在ニーズから潜在ニーズを分析していかなくてはなりません。「えっ?! 設計者がニーズまで検討しなければならないのですか」と思いませんでしたか。

 そうです。設計者もニーズをしっかりと把握しなければならないのです。営業部門は顧客との信頼を構築しながら、潜在ニーズの情報を入手し、設計者と一緒になって見積もりを検討したり、概略の製品仕様を検討したりしていくのが仕事です。しかし、営業担当者だけでは全てを決定できません。製品仕様などに関わるニーズ開発は設計者も実施しなければならないのです。では、その抽出したニーズはどのように設計に生かされるのでしょうか。