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 私はコンサルタントとして、製造業の受注品生産企業と見込み生産品企業のどちらにも訪問し、さまざまな設計プロセスや設計手法について見てきました。

 設計者が困っていることに、設計自体に工数がかかることや、試作評価段階でのやり直し(手戻り)などがありますが、最も困っているという声が多いのは、顧客の要求する仕様を設計部門に投入する設計のインプット段階です。

 特に受注品生産企業の場合、顧客の要求仕様が完全に決まり切る前に受注するため、なかなか設計に着手できません。一方で出荷の期限は決められるため、着手が遅れれば遅れるほど、設計のリードタイムは少なくなっていくのです。こうした経験をしたことがある読者も少なくないのではないでしょうか。

 顧客の仕様が決まるまで待っているようでは、いつ設計に着手できるか分かりません。とはいえ、短いリードタイムで設計する余裕は設計者にはありません。ではなぜ、着手が遅れるのでしょうか。もちろん、顧客が仕様を決めてくれないことにも問題があると思いますが、全ての問題が顧客にあるわけではありません。

 こうした問題が発生している企業の場合、要求仕様書を受けてそのまま設計している場合が目に付きます。実は、見込み生産品企業の場合でも、顧客を商品企画部門と置き換えれば同じ問題が発生しているはずです。

問題はプロセスにあり

 では、どのような点が問題なのでしょうか。私はプロセスに問題があると考えています。要求仕様書や商品企画書がインプットされてから設計を着手すること自体は間違ってはいません。しかし、要求仕様書や商品企画書だけで本当に設計に着手できるでしょうか。

 設計者の皆さんは、要求仕様書や商品企画書をにらみながら、どのように設計していくかをまず考えるのではないでしょうか。実際、どのような機能が求められているかを考え、その機能を実現する方式を検討しなければなりません。その方式によって製品としてアウトプットされる内容がスペック(自動車であればエンジン出力やトルクなど)になります。これらの内容が要求仕様書や商品企画書に書かれているわけではありませんし、決めることもできません。

 よって、着手を早めたいのであれば要求仕様書や商品企画書を待っているのではなく、先回りして「機能・方式・スペック」を検討し、逆提案しなければならないのです。

 主導権は、顧客や商品企画部門ではなく、設計するメーカー(設計者)が握る必要があります。この主導権を持つために検討しなければならないのが、先ほど説明した機能・方式・スペックが記載されている「設計書」です。

 この設計書があれば、設計書の一部を顧客や商品企画部門に逆提案することができ、早々に設計に着手することが可能になります。

 では、設計書とはどのような内容なのでしょうか。設計書の一部を紹介したいと思います。