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 皆さんは、設計者にとって最も大切な能力は何だと思いますか。製図能力でしょうか、それとも構想能力でしょうか。もちろんそれらの能力も重要です。しかし、私が最も大切だと考えている能力は「問題解決能力」です。

 それはなぜでしょうか。設計業務には問題の発生がつきものだからです。問題がない設計はリピート製品などごく一部に限られます。要求仕様などのインプット情報から設計を進めていくと、何かしらバランスを取らなければならない事項が発生するものです。というのも、ある部分では要求機能(以下、機能)を満たせる構造を設定できるものの、その影響から他のアセンブリーや部品では機能が満たせないというケースがよく発生するからです。それでも設計者は、妥協点を見つけて機能を実現しなければなりません。こうした設計の進め方を、私は「バランス設計」と呼んでいます。

問題解決のための8つのステップ
問題解決のための8つのステップ
(出所:日経クロステック)
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問題解決のための8ステップ

 バランス設計では、発生した問題(機能を満たせなくなる部分)を解決するために、どの部分に問題があるのかを正しく追究しなければなりません。また、設計者には、受注した案件や設定した開発テーマ以外にも、市場における品質不具合やクレーム対応などの仕事があります。それらの仕事で改善策を検討する際にも、問題を正しく見極めることが必要です。つまり、設計の仕事とは常に問題を解決しながら進めるものなのです。

 では、問題を問題としてきちんと捉えて真因(問題を引き起こした本当の原因)を追究し、対策を立案するためにはどのように進めるべきなのでしょうか。

 進め方には8つのステップが必要です。

  • [1]問題の明確化
  • [2]現状把握
  • [3]達成目標の設定
  • [4]要因解析(なぜなぜ分析)
  • [5]対策の立案(暫定対策・恒久対策・再発防止策)
  • [6]対策の実行
  • [7]対策の有効性の確認
  • [8]横展開(水平展開)

 これらのうち特に重要なのは、[4]の要因解析と[5]の対策の立案、[8]の横展開の3つです。今回のコラムでは[4]の要因解析を取り上げます([5]の対策の立案と[8]の横展開については次回以降に解説します)。

「なぜなぜ分析」をスムーズに進めるコツ

 要因解析は、「なぜなぜ分析」とも呼ばれるものです。今さらなぜなぜ分析かと思う人もいるかもしれません。しかし、なぜなぜ分析はとても奥が深いものです。設計者としての能力が高くても、訓練を重ねなければ簡単にできるものではありません。そのなぜなぜ分析を比較的スムーズに進めるためのコツを紹介しましょう。(1)真因の追究(2)要因と要因のつながりに注意(3)1つの要因には1つの事象のみ(4)人の考えは記載しない──の4つがあります。