2020年7~9月に開催される東京オリンピック・パラリンピック。主役は世界各国から参加して競い合う選手たちだが、その戦いの場をより高度に、楽しめるものとするためにさまざまな技術も活躍している。選手が身に着ける道具だけでなく、聖火リレーのトーチや代表選手のトレーニング機器、会場の設備、運営をサポートするロボットなど、オリンピック・パラリンピックでは新技術も競い合う。

東京五輪・パラリンピックを支えるテクノロジー
出典:日経ものづくり、2020年2月号 p.43
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目次
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聖火リレートーチはアルミ押し出し一体成形、「今までにない方法で造りたい」
吉岡 徳仁(デザイナー)
桜前線があたたかさを運ぶ─。東日本大震災の被災地で得たひらめきが桜の花色をイメージしたアルマイト仕上げや継ぎ目のない押し出し成形に結実した。金属成形と燃焼装置のメーカーが力を発揮した「東京2020聖火リレートーチ」。デザイナーに話を聞いた。
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都心に自然の渓流を再現、激しさ演出する巨大ポンプは揚水と起流の二段構え
Part3 大会を支える設備/システム
「カヌー・スラロームセンター」(東京都江戸川区)は、国内初となるカヌー競技の人工コースだ。葛西臨海公園と隣接した土地に、コンクリートを使って川の形を建設した。
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トヨタ自律走行車、ハンマー・やりの回収支援 LIDARで地図作成
東京オリンピック・パラリンピックでは、来場者や大会運営スタッフなどを支援するさまざまなロボットが活用される。その1つが、トヨタ自動車が開発した自律走行ロボット「FSR(Field Support Robot)」である。
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10℃でも溶けない「不思議な氷」が灼熱の東京でマラソン選手を救う
「暑熱対策」は、真夏の屋外で実施される競技の選手にとって喫緊の課題だ。開催時期が7~8月の東京オリンピックでは、国際オリンピック委員会(IOC)が猛暑を懸念し、マラソンと競歩の開催地を当初予定していた東京から札幌市に変更すると決定。その是非が議論されたのは記憶に新しい。
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「競技用車いす」に中小ものづくり結集 CFRPで軽く、選手「全然使えない」
中小ものづくり企業の集積地としても知られる東京都大田区。ここでは今、パラリンピックで使われる競技用車いすの開発プロジェクトが2つ進んでいる。具体的には、車いすテニスと車いすバスケットボールで選手が使う車いすだ。
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速さ追求した競技用義足、ねじり低減で推進力高めたシンプルな形状
「パラリンピックをきっかけに、義足ユーザーの全てが“走れる”と思える世の中になってほしい」。Xiborg(本社東京)代表取締役社長の遠藤謙氏は、競技用義足を開発する目的についてこう語る。
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「ピンなし」陸上シューズ、アシックスがCFRPのハニカム構造 桐生選手に提供
陸上競技のスパイクシューズは、東京オリンピックを契機に、その姿を変えるかもしれない。現在はソール(靴底)に金属ピンを取り付ける製品が主流だが、このピンを不要にするシューズが登場したのだ。
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Kinect4台でフェンシング選手を3D解析、格上に勝つヒントも分かる
2019年12月14日、東京・渋谷のビルにデータサイエンティストらが続々と集まっていた。フェンシングの1種目である男子エペで東京オリンピックに出場する日本代表チームを支援するイベントに参加するためだ。
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バレー練習に世界最高「3枚ブロック」ロボット、打倒ブラジル・米国高身長チーム
高身長を誇るブラジルや米国といった世界トップレベルへの対応力を鍛え、アタック決定率を高めたい─。この要望に応えるべく開発されたのが、バレーボールの日本代表チームが練習で使っているロボット「ブロックマシン」だ。
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雨が降ろうが風が吹こうが消えない聖火を実現したアルミ合金成形技術
聖火にふさわしいのは赤々と長く鮮やかに延びる炎。この炎と、風雨に対する消えにくさを両立してほしい─というのが東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の要請だった。