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30キロメートルの航続距離を誇る新型ドローンが過疎地に商品を届ける。位置情報を高精度に測位できる機種は、農業の人手不足を解消する。社会課題の解決にドローンで挑む自治体や企業の取り組みを追った。

 岡山県の南東部、岡山市から電車で30分ほどの山間部に位置する人口1万4000人あまりの和気町(わけちょう)。標高400メートルほどの南山方地区に暮らすシニア層の人たちが次々と、地区内のドローン発着点に集まってきた。そこに商品を積んだドローンが空から到着。集まった人たちは各自が注文した物を受け取った。

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積み荷の菓子
積み荷の菓子
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岡山県和気町などによる、ハイブリッドドローンを使った配送実験の様子

 これは和気町とファミリーマート、レイヤーズ・コンサルティングなどが2019年10月から20年1月にかけて実施した実証実験の1コマだ。毎週3日、昼前後に町中心部にある多目的グラウンド「和気ドーム」から商品を積んだドローンが飛び立ち、3つの集落に設けた発着点を順に回る。朝までに注文した商品は当日届く。実証実験ということもあり送料は無料だ。

 1回の配送に必要な飛行距離は30キロメートルに及ぶ。一般的なドローンが飛べる距離は数キロメートルで、3つの集落を1度に回れない。

 この問題を解決したのが、電池とガソリンで動くハイブリッドドローンだ。ドローンベンチャーのエアロジーラボが開発した。重さ5キログラムまでの物品を30キロメートル以上運搬できる。これを使い、町中心部で店の商品を載せ集落に運ぶ。

 配送先の集落の住民にとって、町中心部までの公共交通機関は1日2往復のバスだけ。朝のバスに乗って病院に行くにも、診察や薬の処方が長引くと、帰りは夜のバスまで待つことになる。住民たちは「ドローン配送はありがたい。将来は薬も受け取りたい」と話す。