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事業の改善で開発研究要員を捻出

 生き残りの施策として、本業だけでなく新規事業や周辺事業の開発に力を注ぐ部品メーカーも少なくない。

 例えばギア部品を手掛ける武蔵精密工業は、AIを活用した新規事業を検討。その1つとして、自社の工場のために開発した品質検査用のシステムを導入した(図9)。AIの画像解析技術を活用した部品の外観検査システムで、ギアの品質管理で貢献していたものだ。同社は2019年4月、日鉄精圧品から同システムの導入に向けた実証実験サービスを受注した。

図9 AIで部品の品質向上(武蔵精密工業)
図9 AIで部品の品質向上(武蔵精密工業)
ギアの溶接部に発生した金属粒(スパッタ)を外観検査でAIが検出。ギアを持ったロボットがカメラで奥にある部品を撮影。その画像をAIが解析する。同社はこれらの仕組みを、将来は外販する方針だ。武蔵精密工業の資料を基に日経Automotiveが作成。(出所:武蔵精密工業)
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 骨格部品を手掛けるエイチワンは、金属加工技術の多面的な展開を検討中だ。例えば、燃料電池車(FCV)の電池で使用する金属セパレーターを開発(図10)。精密なプレス加工技術を生かす。

図10 燃料電池車の部品を開発(エイチワン)
図10 燃料電池車の部品を開発(エイチワン)
金属加工技術を活用し、新たな部品開発に力を注ぐ。その1つが、燃料電池車(FCV)用の金属セパレーターだ。精密に加工できるプレス技術を生かす。(撮影:日経Automotive)
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 異業種からの問い合わせもあり、新たな事業の可能性も広がりつつあるという。例えば、家電製品や土木製品への技術の活用だ。このような動きを同社はチャンスと捉え、2019年4月に商品開発の部門を開発技術本部の中に設立した。今後は同部門が、要素技術をどのような分野で活用できるのかを研究したり、異業種からの問い合わせに答えたりする業務をこなし、新たな事業を切り開く。2030年にはエイチワンブランドの商品の展開を目指す。

 本業を支えるためには、既存事業の改善を進めることも大切だ。骨格部品を手掛けるジーテクトは、工場の効率化に力を注ぐ(図11)。同社は2018年から生産向上プロジェクトを開始。センサーや画像解析技術などを活用して無人化ラインを構築し、単純作業は全てロボットに任せる方針。工場にかける人手を減らした分、研究開発の要員を増やす。

図11 工場を無人化して効率を上げる(ジーテクト)
図11 工場を無人化して効率を上げる(ジーテクト)
センサーやカメラ、AIなどを多用して、工場の無人化を進める。2018年から日本の工場で無人化を実証し、今後海外の拠点にも広げていく方針だ。(出所:ジーテクト)
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 まずは日本の工場で無人化を進め、今後は海外の拠点にも対応を広げる予定だ。