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 やってもやっても終わらない。会社に当初約束した「新しい基幹システムを1年半で完成」という期限を守れそうにない。約束を優先し、強引に基幹システムを入れ替えてしまうか。それとも延期か。プロジェクトメンバーの意見は割れたが結局、無理はできないと半年の延長を会社に申し入れた。それでも時間が足りず、最終的にはさらに1年延ばした。当初予定より1年半も遅れてしまったわけだ。

 いわゆる「ひとり情シス」に挑戦し、勤務先の基幹システムを全部つくったと前回の本欄で報告した際、最後に次のように書いた。「基幹システムの開発は甘くはなかった。本格的な開発が始まって1年ほどたったころ、壁にぶつかってしまう。その苦労については次回お伝えしたい」

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 予告通り、壁にぶつかった理由と、そこから1年半をかけてなんとか完成させるまでの工夫を書いてみたい。

製品と工程の捉え方に問題があった

 開発が行き詰まった理由は大きく2点あった。まず、製品と工程の捉え方という設計の根幹に難があった。プラスチックを使った最終製品ができるまでを「製造」「印刷」「加工1」「加工2」という4工程に分け、最終製品はもちろん、各工程でつくられる中間製品(仕掛品)もそれぞれ製品として登録しようとしていた。

 原材料からプラスチックを「製造」し、薄く伸ばして「印刷」する。ロールのまま売ることもあればカットして売ることもある。さらにいくつかの「加工」を施す。ノッチ(切り溝)の形やサイズの精度、清浄性といった仕様について客先ごとの要求を反映する。

 最終製品はそれぞれ異なるとしても、中間製品が同タイプ、同サイズであれば同じ製品とみなして生産ロットを大きくでき、在庫も有効に活用できる。効率化を狙った自分なりの工夫だったが、この設計方針には無理があった。

 すべての工程ごとにいちいち別製品として登録しなければならず、効率化どころか事務担当者の登録作業が大変になる。システムをある程度までつくり、現場で使ってもらってみたところ、「製品1点の登録に数分から数十分もかかり、仕事にならない」と言われてしまった。

 もっともであり、最終製品だけを独立した製品として登録し、各工程で生まれる中間製品は仕掛品として扱うように改めた。

製品と工程の関係モデル(前後)2
製品と工程の関係モデル(前後)2
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 データモデルで説明すると図の上段が当初のものだ。最終的につくりたい製品を「工程見出ファイル」に登録する。さらに各工程を記録する「工程明細ファイル」の中に「中間製品C」とあるように、工程明細を登録する前に中間製品として「製品マスタ」に登録しておかないといけなかった。

 見直した結果が下段である。最終製品だけを製品として登録し、各工程で製品を登録する必要はない。工程明細では製品タイプや厚みといった属性情報を持ち、ノッチ個数など詳細な情報は製品マスタで持つ。