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 マニュアル作成専任者になった彼は私の書いたものを読み、現場の声も聞きつつ、新しいマニュアルを用意してくれた。現場からは「分かりやすい」と大好評だった。

 システムの操作手順に加え、「こういう注文の際はどのように登録すればよいか」「返品の際はどういう手順になるか」といったように業務の流れにそった使い方を書いてくれたからだ。彼がつくったものを業務マニュアルと呼ぶなら、それまで私が書いていたのは操作マニュアルだったと言える。

 業務マニュアルが使われることで、現場の各拠点で業務への理解や解釈がそろうようになった。それまでは利用者の理解や操作方法にバラつきがあった。

 そして開発者の私にとっても大いに役立った。現場がどのような手順で業務を進めているのか、業務マニュアルを読むことで客観的かつ視覚的に捉えることができた。現場が最終的に何をしたいかがよく分かり、そこから逆算してシステムの使い勝手をよくしていくように工夫した。

 業務マニュアルを間に置くことで、現場と私との間の情報の流れが正確になり、太くなった。「これが正しい」と一方的に押し付けるのではなく、現場から教えを乞う姿勢になれた。

 男性がチームに加わったことで大いに助けられた。現場と意見が合わず、孤立しそうになったとき、私の代わりに説明してくれ、時には「中田さんの意見に一理ある」と言ってくれた。すべてを自分で説明しなくてはいけないという状態から解放されたし、時には愚痴を聞いてもらえるようになった。

現場の要請を受け、在庫管理の機能を充実させる

 丸3年を費やしたものの2008年4月、ついに新システムを導入できた。その後2カ月間、新システムと旧システムの双方にデータを入力し、結果を比較した上で2008年6月から新システムへ切り替えた。

 導入期のドタバタを乗り越えると、新システムの機能を拡充していけるようになった。印象に残っているのは、工場の事務担当者が製品の在庫を確認しつつ、生産指示を出す機能の開発である。

 製品の現在庫情報、加工指示情報、仕掛原反(加工前のプラスチック生地)の在庫情報、製品ごとの平均出荷数量を基幹システムから取り出し、表計算ソフトのシートにまとめて表示できるようにした。

 実際に生産指示を出す時は、在庫数量や出荷予定だけでなく、どこの加工所に加工指示を出しているか、最終製品の元となる仕掛品の在庫数量はどの程度あるか、といった色々なことを配慮した上で生産順位を決定しなければならない。

 製品の在庫管理機能を基に、原料の発注在庫管理機能も作成した。以前自分が作成した部品表から原料所要量を求め、工場での製造予定と仕入れ先からの入荷予定から、使用原料の週別在庫推移を一覧で管理できるようにした。この機能を開発するにあたって『業務別データベース設計のためのデータモデリング入門』譲りの、未来に在庫を置く在庫推移表の考えを採用できた。

原料発注在庫状況Excel
原料発注在庫状況Excel
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