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 宇宙ビジネスが進化している。電波の反射を利用する「合成開口レーダー」(SAR:Synthetic Aperture Radar)。悪天候で雲がかかっていても、深夜で日が差さない場所でも地表を観測できる。技術革新で小型化が進んだSARを活用した新たな人工衛星ビジネスが世界各国で勃興しているのだ。連載第1回ではSARを活用してビジネスを展開しようとする宇宙ベンチャー企業の動向などを解説する。

 人工衛星による地球観測の技術は進歩し続けている。今や悪天候で雲があっても、日の差さない深夜でも地表を観測できる。レーダーを使って地表を電波で照射し、その反射波から画像を作成する「合成開口レーダー」(SAR:Synthetic Aperture Radar)が進歩を続けているからだ。

宇宙から駐車場のクルマを数えて計測する
宇宙から駐車場のクルマを数えて計測する
日本の宇宙ベンチャー企業シンスペクティブ(Synspective)が、航空機に搭載したSARから得た画像とその解析デモ。SAR画像では自動車は1台ずつ分離して写ってはいないが、「どのような駐車場か」というグラウンドトゥルースと組み合わせて解析すれば、駐車場にどれだけ自動車が入っているかを算出できる。(出所:シンスペクティブ)
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 SARは、使用する電波の波長によって様々な対象を観測できる。例えば地下水や地下鉱物の分布なども捉えるのが可能だ。最近の技術革新で小型軽量化され、重量が100kg級で低コストの小型衛星にも搭載できるようになってきた。この結果、資金力が小さいベンチャー企業でもSAR衛星を製造し、打ち上げて衛星ビジネスに参画できる余地が出てきたのだ。既に日本でも、SAR衛星を活用したビジネスの展開に取り組んでいる企業が現れている。宇宙ベンチャーに「SAR」という追い風が吹き始めているのだ。

 「SAR」とは何か。どのような技術が使われているのか。なぜ今、「SAR」が必要とされ、「SAR」を活用したビジネスが勃興し始めているのか。

可視光による観測から電波による観測へ

 まずは、地球上を回る軌道から地表や海表面を見下ろし、地球の表層の状況を観測する「地球観測衛星」の現場についておさらいしよう。

プラネット・ラボのサービスで東京ドーム付近を表示
プラネット・ラボのサービスで東京ドーム付近を表示
光学観測衛星コンステレーションの構築で先行した米プラネット・ラボ(Planet Labs)が提供する有料サービス「Planet Explorer」による画像(出所:プラネット・ラボ)
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 地球観測衛星のパラダイムは2010年代に入ったころに大きく変わった。多数の地球観測衛星を同時に運用して高頻度で地表を観測する「地球観測衛星コンステレーション」(以下、コンステレーション)の構築が始まったのだ。現在、この分野で世界的にトップを走っているのは米プラネット・ラボ(Planet Labs)だろう。同社は2019年末時点で、140機以上の超小型地球観測衛星を運用。地上の主要地域を数日に1回という高頻度で観測し、その観測データを販売している。

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