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平面ではなく皿状のパラボラアンテナを採用

 パラボラアンテナは、平面のフェーズドアレイアンテナに比べると、アンテナの感度を稼ぎやすい。つまり電源容量が小さくなるので、どうしても送信電波が弱くなる小型衛星でも、実用的なSARを搭載することが容易になる。

JAXAのSAR搭載地球観測衛星「だいち2号」。大型のSAR衛星は一般に平面のフェーズドアレイアンテナを使用する。(写真:JAXA)
JAXAのSAR搭載地球観測衛星「だいち2号」。大型のSAR衛星は一般に平面のフェーズドアレイアンテナを使用する。(写真:JAXA)
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 パラボラアンテナを採用したSAR衛星の先例があった。ドイツのSAR偵察衛星「SAR-Lupe」だ。同衛星は2006年から2008年にかけて5機がロシアの「コスモス」ロケットで打ち上げられていた。

 ただしSAR-Lupeは重量770kgの大型衛星で、直径約3mのパラボラアンテナは折り畳みなしのリジッドな(変形・収縮などできないきっちりした)ものだ。このためSAR-Lupeは、衛星フェアリング内にパラボラアンテナを格納するために、専用の衛星フェアリングをわざわざ製造した。予算に糸目を付けない安全保障用途の衛星ならではのぜいたくだ。

SAR Lupe衛星。直径3mの折り畳まないリジッドなパラボラアンテナを持つSAR衛星。
SAR Lupe衛星。直径3mの折り畳まないリジッドなパラボラアンテナを持つSAR衛星。
(出所: OHB-System AG)
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SAR Lupeの打ち上げでは、パラボラを覆うことができる特製の衛星フェアリングが使われた。増設された膨らみの中にパラボラアンテナが収まる。
SAR Lupeの打ち上げでは、パラボラを覆うことができる特製の衛星フェアリングが使われた。増設された膨らみの中にパラボラアンテナが収まる。
(出所: OHB-System AG)
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 資金の少ないベンチャー企業の開発する小型衛星では、コストをかけて専用の衛星フェアリングを用意するのは論外だ。小さく畳めるパラボラアンテナを開発しなくてはならない。