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 2019年10月31日未明、沖縄文化の象徴とされる首里城が炎に包まれた。木造で復元した正殿から出た炎は、鉄筋コンクリート造の建物に次々と燃え移り、約11時間も燃え続けた。その結果、首里城の中心施設7棟が全焼した。なぜ被害がこれほどまでに拡大してしまったのか。前回に引き続き消火活動を詳細に検証する。

 2019年10月31日の火災当日、消防団を含めて171人が消火活動に当たった。消防車両は53台出動したが、首里城は標高約120mの高台に位置することに加え、正殿に至るまでに複数の門と城郭が再建されている。このため正殿付近に消防車両は近づけなかった。

木造で復元された正殿は、軸組みの跡形もなく灰になった(写真:那覇市消防局)
木造で復元された正殿は、軸組みの跡形もなく灰になった(写真:那覇市消防局)
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首里城周辺の平面図。首里城周辺には再建された城郭や門があるため、消防車両は正殿に近づけなかった。消防隊は奥書院南側や久慶門北側に車両を止めて、駆け足で正殿まで急行した(資料:内閣府沖縄総合事務局と那覇市消防局の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
首里城周辺の平面図。首里城周辺には再建された城郭や門があるため、消防車両は正殿に近づけなかった。消防隊は奥書院南側や久慶門北側に車両を止めて、駆け足で正殿まで急行した(資料:内閣府沖縄総合事務局と那覇市消防局の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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Ⓐ 歓会門
Ⓐ 歓会門
門の手前までは道の幅員は広く車両が近づけるが、門は人2人分程度の幅しかない(写真:日経アーキテクチュア)
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Ⓑ 漏刻門
Ⓑ 漏刻門
門手前の空間は城郭に囲まれており、正殿付近の様子を見ることができない(写真:日経アーキテクチュア)
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Ⓒ 久慶門
Ⓒ 久慶門
火災発生時、久慶門は施錠されていた。消防隊はチェーンソーで破壊して正殿へ向かった(写真:日経アーキテクチュア)
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Ⓓ 広福門
Ⓓ 広福門
広福門前の広場からは那覇市の町並みを見下ろせるほどの高台に位置する。正殿側を見ると北殿が見える(写真:日経アーキテクチュア)
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 通報を受けて現場に到着した消防隊は、防火水槽付近や高台のふもとに停車させていた消防車両などからホースを最大約220m延長し、駆け足で正殿付近まで急行した。

 市消防局予防課の小谷良予防係長は、「地理地形を考慮して警防計画を策定していた。しかし、今回は風も強く、想像以上の輻射熱に襲われ、消火活動を継続することが困難だった」と話す。

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