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記録・再生や伝送の技術の発達に伴い、映像を使う業務が増えてきた。工事現場も例外ではない。東日本大震災の復興現場では4Kカメラによる映像を駆使し、AI(人工知能)で重機の台数を確認するなど、新しい現場管理の手法を模索している。
岩手県で進む復興工事において、テクノロジーを駆使した画期的な現場管理手法を試行している。現場の映像を分析してAI(人工知能)で重機の数をリアルタイムに把握し、計画値との差異から施工の進捗を管理する。狙いは現場の生産性向上だ。
現場の映像からAIを使って重機を自動認識。動画は早回ししている(動画:映像進捗管理システム開発コンソーシアム)
実施者は、安藤ハザマと富士ソフト、日本マルチメディア・イクイップメント(東京・千代田)、計測ネットサービス(東京・北)、宮城大学の5者が組むコンソーシアムだ。内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の資金を活用した国土交通省の技術公募で、同コンソーシアムが掲げる「映像進捗管理システム」が採択された。
現場は、2011年3月に津波で壊滅的な被害を受けた大槌町。計画高14.5mの防潮堤と2つの水門を構築している。技術の肝となるのが定点カメラだ。現場の両端に位置する2つの水門の上に、2基ずつ設置した。
遠くまではっきりと映り、分析などにも使えるよう、「4K」対応のカメラを採用した。現場詰め所の会議室や所長室などに設置したモニターで、現場の様子をリアルタイムで確認できる。
「現場で今何をしているのか、危険な作業をしていないかなど、映像を見るだけで確認できるため、助かっている」。現場で施工を担う安藤ハザマ・植木組・伊藤組土建・南建設JVの野田辰馬大槌作業所長は、こう評価する。
現場の詰め所に設置しているモニター。「指示通りに施工しているのかどうかの確認のために若い職員がよく見ている」と、安藤ハザマ土木技術統括部地盤グループの木付拓磨主任は話す(写真:日経コンストラクション)