担い手不足の解消は、建設業界の喫緊の課題だ。AIや建設ロボットといった最新テクノロジーを施工現場に取り入れ、生産性を高めていこうとする気運はこれまでになく盛り上がっている。こうした技術が本格的に実装される2020年代の建設現場はどう変わるのか。「建設テック」の導入によって革新する、建築・土木のスゴイ現場を追いかける。

担い手不足の解消は、建設業界の喫緊の課題だ。AIや建設ロボットといった最新テクノロジーを施工現場に取り入れ、生産性を高めていこうとする気運はこれまでになく盛り上がっている。こうした技術が本格的に実装される2020年代の建設現場はどう変わるのか。「建設テック」の導入によって革新する、建築・土木のスゴイ現場を追いかける。
国土交通省北陸地方整備局が進める総事業費1200億円に上る大河津分水路改修工事の現場で、前代未聞の立体映像を使った協議が行われている。主導するのは小柳建設(新潟県三条市)だ。遠方にいても協議に参加できる他、対面式の従来型の協議と比べて建設的な意見を引き出せるメリットもある。
現場の生産性向上で、協議の改善に注目しているのが新潟県三条市に本社を構える小柳建設だ。SF映画のように立体映像を使った打ち合わせを、国の工事で実践している。移動時間の省略や情報共有の深化につながる「未来型の協議」とは。
東日本大震災から9年がたつ。死者・行方不明者を1200人以上出した岩手県大槌町では、巨大津波を防ぐための防潮堤と水門の建設工事が進む。4Kカメラで撮った映像に様々な情報を組み合わせる、新たな現場管理手法を試行中だ。
大和ハウス工業が設計・施工を手掛ける香川県・小豆島の「春日堂新第2工場」
鉄筋工事会社が主体となって開発した鉄筋結束ロボット「トモロボ」が、香川県・小豆島の「春日堂新第2工場」の建設現場で適用された。人による従来の結束作業の80%以上を削減できる。
記録・再生や伝送の技術の発達に伴い、映像を使う業務が増えてきた。工事現場も例外ではない。東日本大震災の復興現場では4Kカメラによる映像を駆使し、AI(人工知能)で重機の台数を確認するなど、新しい現場管理の手法を模索している。
「シミズ・スマート・サイト」初適用の「からくさホテルグランデ新大阪タワー」など
清水建設が清水建設が打ち出す次世代建築生産システム「シミズ・スマート・サイト」の初適用現場が、2019年8月に工事を終えた。本格導入した搬送ロボットは、続く大規模オフィスビルでも搬送作業を完遂。多能工ロボットや溶接ロボットも本施工での現場適用を間近に控える。
「鹿島スマート生産ビジョン」初適用の「名古屋伏見Kスクエア」
計18項目に上る技術やシステムを集中的に導入した「鹿島スマート生産ビジョン」のパイロット現場では、週休2日を完全達成した。延べ労働時間は同規模の建物と比較して20%強の削減を実現している。さらに鹿島は、「25年までに全現場へ適用、3割の生産性向上」としていたスマート生産ビジョンの実現を1年前倒しす…
「鹿島スマート生産ビジョン」を全面適用、神奈川県内の最新モデル現場
鹿島が、IoT技術を活用した資機材位置・稼働モニタリングシステムの現場適用を進めている。現場内のモノと人の状況を、工事事務所のモニターに映し出されたBIMモデル上でリアルタイムに把握できる。名古屋に次ぐ新たなモデル現場に導入し、水平展開を急ぐ。