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各社が開発中の空飛ぶクルマの実力はどうなのか。ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプター「Rmax」や、チルトウイングによる垂直離着陸試験機などの開発経験を持つ専門家が、航続距離、最大積載量、垂直離着陸の能力、騒音、安全性などの観点で公開情報を基に機体を分析した。(日経エレクトロニクス)

 いわゆる「空飛ぶクルマ」の設計の良し悪しを考える場合、用途を明確にする必要がある。国内外で開発が進んでいる空飛ぶクルマの用途は「空飛ぶタクシー」である。つまり、同じ都市内の拠点間、空港と都市間といった、点と点を結ぶ、目的地までの直線的な移動を前提としたものである。運用範囲を近郊の都市と空港と考えた場合、航続距離として100km程度は欲しい(図1)。

図1 空飛ぶタクシーは固定翼の活用が重要に
図1 空飛ぶタクシーは固定翼の活用が重要に
長い航続距離と大きなペイロードを実現するためには、固定翼の揚力を使うのが最も現実的である。また、翼の揚力を使うことで低騒音を実現でき、安全性も確保できる。機体開発の要素も記載した。(図:松田篤志が作成)
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 乗客数は最低で2人。標準的な乗客数を考えると4名は欲しい。パイロット1名と手荷物などが加わるため、最大積載量(ペイロード)は500kg程度を見込む必要がある。

 滑走路を用意できない都市部を飛ばすことを想定しているために、離着陸距離は、ほぼゼロであってほしい。都市上空を飛ぶことから騒音対策も必須だ。さらに、人を運ぶことから、「いつか必ず落下する」ことを前提に、リスクを丹念に評価して、あの手、この手で乗員が生き残れる対策も重要である。

 以上の要件をまとめると、(1)100km程度の航続距離、(2)500kg程度のペイロード、(3)垂直に近い離着陸性能、(4)低騒音、(5)十分な安全性能、が確保される必要がある。

 このうち(1)航続距離と(2)ペイロードは、離着陸、移動における消費エネルギーを最小化することが解決の近道である。これに(3)離着陸性能という要件を加えて考える必要がある。