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婚活からフリーランス技術者の支援まで、AIを使った信用スコアによる新手のサービスが広がっている。定量的に表しにくい結婚相手の条件をAIがスコア化し、本人も気付かない相性の良さを探り当てる。信用面で不利益を受けやすいフリーランス技術者の仕事探しや福利厚生にもAIスコア技術を活用する。

パートナーエージェント
婚活にもスコア活用

 「実家は茨城県で自営業。結婚相手の男性の条件は茨城県在住で婿養子になってくれる人。将来は家業を継ぐので経営の専門知識がないとだめ」。こんな条件を掲げていた婚活サービスの女性会員が結婚した相手は、なんと東京在住で特別な専門知識がない男性だった――。婚活サービス事業者のパートナーエージェントが、AIを使って算出したスコアを基に候補者を絞り込み、紹介した結果である。女性会員が提示した条件からは外れていたが、めでたくゴールインした。

 婚活サービスにおいて結婚相手の候補者を探す場合、事業者が持つ会員リストから年収や身長、勤務先、家族構成など相手に求める条件で絞り込み、互いに気に入った人が見つかれば実際に会う流れが一般的だ。コンシェルジュやエージェントと呼ぶ事業者の社員が自身の経験と勘を頼りに候補者を提示するケースもある。冒頭のケースはそのいずれでもない。

 パートナーエージェントはAIを使って候補者を紹介するサービスを2018年6月に始めた。具体的な仕組みはこうだ。女性会員の場合、コンシェルジュが2時間近くかけて女性会員にヒアリングし、その会員の人となりを表す400~500字程度の文章「コメント文」を作成する。年収や居住地、勤務先などの情報に加えてコメント文をシステムに入力する。システムを開発したAIベンチャーFRONTEO(フロンテオ)によると、「コメント文やプロフィル情報を自然言語解析し、趣味や価値観の特徴量を抽出している」という。

 次にパートナーエージェントで成婚した元女性会員のコメント文の分析結果と総当たりで比較し、類似度が高い順に点数化し、上位3人などを抽出する。さらに抽出した元女性会員と結婚した元男性会員のコメント文を分析し、類似度が高い現役の男性会員を抽出する。最後は紹介する現役男性会員をコンシェルジュが選び、女性会員に紹介する。

 「経験上は合わないと思える条件でもうまくいくケースが増えて正直驚いた」。あるコンシェルジュはこう打ち明ける。冒頭のケースで言えば男性会員の実家も自営業だった。男性会員のコメント文からは、仕事に向き合う姿勢を結婚相手に求めている様子がうかがえたという。

図 パートナーエージェントのAIスコア活用イメージ
図 パートナーエージェントのAIスコア活用イメージ
検索条件では漏れる相手も紹介する
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 定量的には表しにくい条件をAIによるスコアとして拾い上げた結果、居住地や専門知識の有無などの条件は一致していなかったが、それを上回る相性の良さをAIが見抜いた格好だ。パートナーエージェントは導入効果を公開していないが、「一定の成果が出ていることは間違いなく、AIの推薦による紹介だと会員に説明する機会が増えている」という。