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語りたいストーリーあるからブランドが認知される

田子 コーヒーも全く一緒だと思います。スターバックスみたいなブランドが出てきて、この豆の産地はどことか、どういうふうに作られたとか、そういうストーリーを見せつけられると、ああ素晴らしいねという話になりますよね。そうやって消費者が納得して、そのブランドにほれて、という認知の仕方になっていくと良いんです。ビールもワインも、みんな飲むのは楽しいんだけど、本当は語る楽しさもあるはずなのに、今まではそこが抜け落ちていた。だからこそ、ぜひワインについて語る時間を作ってほしいというのが、MGVsのブランドに込めたメッセージの一つです。

(写真:加藤 康)
(写真:加藤 康)
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 ブランドとテロワールという意味では、この前、松坂さんと一緒に行ってきた、フランチャコルタというイタリアを代表するスパークリングワインの産地で体験した話が非常に面白かったですね。ここは協会が本当にしっかりしていて、どのワイナリーに行っても、自分たちのワインを説明するより先にフランチャコルタの地質の話から入るんです。説明のフォーマットがしっかり出来上がっている。もともと氷河期に固まった氷河が最後に漂着し、あらゆる岩盤を削ってきた最後の終着地点だと。だから、そこにいろんなものが堆積物として集まったから、肥沃な土地になったんだと。みんなそういう話を最初にするんです。それから自分たちのワインの話をするので、すごく説得力がある。

 だけど、日本のワイナリーでそんな説明をされたことはないです。ここが大きな差だなと思いますね。

松坂 やっぱりそういう情報を共有できる仕組みがあるといいですね。私が最近思うのは、日本は樽の情報が少ないということです。樽を作る人は、フランスにしかいないんですね。逆にいえば、フランスの良いボルドーワインとかブルゴーニュワインとかは、樽職人がつくっているといっても過言じゃないかもしれない。そういう樽職人がもっともっと日本にいないといけないし、樽に関する情報がもっとあふれるぐらいじゃないと、フランスのような産地にはなれないんだろうなとちょっと思っているんです。

 あとは、つくり方とか企業秘密として囲うのではなくて、もっとライセンス供与する仕組みがあるといいですね。もっとオープンにして地域のみんなで使える仕組みが、今後は必要だと思うんです。もっと進化するためには。

 先ほどのフランチャコルタ協会も、やってはいけないルールというのはきちんと決めています。フランチャコルタと称して、中国や日本でつくるというのはダメです。それは圧倒的にブランドを守るためにやっていますから。協会の中ではオープンで、ただ知財については協会がしっかり守っている。