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iPadから出るピアノの音に夢中に

 続いて視覚に障害を持つ角田まき子氏が特別講師として登壇した。同氏はかつて本講座でサポーターを目指す受講者からiPadの使い方を教わる練習相手として参加。そこで初めてiPadに触れたと言う。

 第一印象は「真っ平でどこを触ってもつるつる。ここからどうやって情報が出てくるのかと思った」とのこと。指で触って分かるように、あらかじめiPadを模して作った段ボールの教材でアプリの配置やインターフェースの形状を教えられていた。ところが実際にiPadに触れると、意図しない音声ガイドの声が次々に聞こえてくるため、うまく使えるのだろうかと少し心配になったそうだ。

特別講師の角田まき子氏は初めて講座に参加した際、実際にiPadのアプリを操作する前に、段ボールで作られた教材を指で触ってiPadの形やアプリの位置などを学んだことを紹介
特別講師の角田まき子氏は初めて講座に参加した際、実際にiPadのアプリを操作する前に、段ボールで作られた教材を指で触ってiPadの形やアプリの位置などを学んだことを紹介
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 しかしiPadの楽器アプリでピアノを弾くと不安はどこかに飛んでいった。自分の指に合わせて出るピアノの音を聴き、その場でiPadのとりこになったそうだ。帰宅後、iPadの使い方を教わった受講者に連絡して、iPadの情報を入手。1カ月後には自分のiPadを手に入れた。

 楽器アプリをきっかけにiPadの魅力に触れた角田氏は、その後夫とドライブしたり買い物で街を歩いたりする際に「マップ」アプリを使うようになった。自分のいる場所を教えてくれる機能が役に立っているそうだ。一緒にいる夫に何度も尋ねるとうるさがられるが、iPadはちゃんと答えてくれると笑う。

 角田氏は2017年5月ごろにiPhoneも使い始めた。iOS標準搭載の「アクセシビリティ」機能に備わる画面読み上げ機能「VoiceOver」などを使って、iPadやiPhoneを使いこなしている。

支援機能は実際に試して自分に合うものを選ぶ

 そんな角田氏でも文字入力は、画面のキーを探りながら操作しなければならず、とても大変なことだという。仕事と家事の合間に1日2時間程度練習し、思うように入力できるようになるまでに半年ほどかかったそうだ。その後、様々な機能を試した結果、現在はiPhoneの「フリック入力」を使っている。アクセシビリティにはいろいろなタイプの支援機能を選べるようになっており、文字入力と同様に、自分に合うものを見つけることが大切と語る。

スクリーンキーボードを使った文字入力は様々な機能を試した結果、フリック入力が自分に合うやり方だったと角田氏は語る
スクリーンキーボードを使った文字入力は様々な機能を試した結果、フリック入力が自分に合うやり方だったと角田氏は語る
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 角田氏は現在、サポーターとして積極的に本講座に協力しているそうだ。サポーターとなってiPhoneやiPadの使い方を教えたいと意欲を持った受講者とのコミュニケーションが何より楽しいと微笑む。

 同講座は2020年も引き続き実施される予定という。引き続き多くのサポーターが育ち、草の根レベルでも新たな交流が生まれることだろう。

伊藤 朝輝(いとう あき)
ライター/システムエンジニア
SEとして働く傍ら、1995年ごろから雑誌や書籍で執筆活動を始め、現在はライターの仕事がメイン。iPhoneやiPad、Macを使い、アップル製品漬けの毎日を送っている。「アップル製品に使うお金はアップル製品で稼ぐ」がモットー。