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 AI(人工知能)が日本語を聞いたり読んだり話したりする。そんな「日本語テック」を企業が続々とビジネスに取り入れ始めた。既に業務に欠かせないツールになっている現場もある。先進企業の「日本語テック」の活用を紹介する。

 住宅ローンを申し込む際に顧客が金融機関に提出する「住宅ローン事前審査申込書兼保証引受照会書」。申込者はA3サイズの用紙に氏名や住所、勤務先などをびっしりと手書きする。

 手間がかかるのは融資する側も同じだ。仙台銀行の場合、行員が書類の記入内容を端末に手入力するのに従来は1件当たり15分ほどかかっていた。しかし「日本語テック」によって1件当たり5分に短縮したという。

 その日本語テックとはAI(人工知能)を用いたOCR(光学的文字認識)だ。一般に「AI OCR」と呼ばれる。仙台銀行はAIベンチャーのCogent Labs(コージェントラボ)が提供するAI OCRのクラウドサービス「Tegaki」を使ってAI OCRのシステムを開発し、2019年9月に本格運用を始めた。

 手書き文字を正しく認識する認識率は9割だという。そのため行員による端末への転記入力は「画面上でAI OCRが間違って認識した文字を直すだけで済む」(経営企画部 IT企画室の三浦若菜氏)。これが入力時間を短縮できた理由だ。

仙台銀行の中村圭 経営企画部 経営企画課 課長 兼 IT企画室 室長(右)、成田智子 個人営業部ローン推進課 課長(中央)、経営企画部 IT企画室の三浦若菜氏(左)
仙台銀行の中村圭 経営企画部 経営企画課 課長 兼 IT企画室 室長(右)、成田智子 個人営業部ローン推進課 課長(中央)、経営企画部 IT企画室の三浦若菜氏(左)
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 ただし初めから9割の認識率を実現したわけではない。Tegakiを最初に検証した時の認識率は6割だった。どうやって認識率を高めたのか。

 仙台銀行がTegakiを最初に検証したのは2018年9~12月だ。認識率6割という結果に「実務的ではないと感じた」(中村圭 経営企画部 経営企画課 課長 兼 IT企画室 室長)。

 認識率が低かった原因の1つは、当時の書類のフォーマットにあった。下の写真は検証で使用した住宅ローン事前審査申込書兼保証引受照会書である。

フォーマット変更前の住宅ローン事前審査申込書兼保証引受照会書
フォーマット変更前の住宅ローン事前審査申込書兼保証引受照会書
(出所:仙台銀行)
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