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 AI(人工知能)が日本語を聞いたり読んだり話したりする。そんな「日本語テック」を企業が続々とビジネスに取り入れ始めた。既に業務に欠かせないツールになっている現場もある。先進企業の「日本語テック」の活用を紹介する。

 AIがビジネス文書のミスを細かく指摘する。企業の間でこの「AI査読」の導入が進んでいる。先進企業でのAI査読の使い方を紹介する。

AIが契約書をレビューして間違いや欠落を指摘

 三菱鉛筆は社内で作成する契約書と取引先などから届く契約書をAI査読ツールによってレビューしている。AI査読ツールには法務関連のソフトを開発するLegalForceのクラウドサービス「LegalForce」を採用した。

 LegalForceは契約書などの法務文書をチェックして、誤った記述や不足している記述を指摘する。契約項目の検索なども可能だ。

 LegalForceを利用しているのは主に法務室だ。法務室に異動して日が浅い社員は契約書のチェックに時間がかかりがちだという。三菱鉛筆の齋藤茂樹法務室室長らはこの状況を改善したいと考えた。

 目標は時短だけではない。「仕事を待つのではなく取りに行くようにしたい」と齋藤室長は話す。例えば前の所属部署の社員と日ごろからコミュニケーションを取り、契約書を交わす仕事があると分かれば早い段階から携わる。

 齋藤室長らは2018年10月から19年3月にかけて当時ベータ版だったLegalForceを試用。2019年7月に契約して本格利用を開始した。

 LegalForceの利用時は、自社で作成した契約書や他社から受け取った契約書を読み込んでレビューを実行する。すると、修正あるいは削除すべき点などがすぐに表示される。ひな形となる文書も画面内で探せる。

LegalForceは、PDFやWord形式のファイルを読み込んで記述内容をレビューすることも可能
LegalForceは、PDFやWord形式のファイルを読み込んで記述内容をレビューすることも可能
(出所:LegalForce)
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LegalForceを使ったレビュー画面の例
LegalForceを使ったレビュー画面の例
(出所:LegalForce)
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 三菱鉛筆の寺杣緑法務室係長はLegalForceのチェック精度を「かなり細かく指摘することもあるほどで、指摘漏れは少ない」と評価する。

 LegalForceをよく使う奥村華奈子法務室課長代理は、LegalForce導入前の2019年4月に法務室へ異動した。当時は法務文書に目を通すのに時間がかかっていた。分からない点を関係部署にヒアリングしたあと、その回答を踏まえて改めて文書を読み直すと別の分からない点が出てくる状況だった。そのため関係部署に何度もヒアリングしたこともあったという。

 LegalForce導入後は、「契約書を読んだあとLegalForceでチェックし、指摘の一覧を見て担当部署に確認しなくてはならない点をピックアップしている。1回ヒアリングすれば済むようになった」(奥村課長代理)という。