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 システム開発におけるユーザー企業とITベンダーの契約に関して、「情報システム・モデル取引・契約書」というものがあることをご存知だろうか。経済産業省が第1版を公開したのは2007年のことだ。全てのシステム開発がこれに準拠することが、ITを経営の力として生かすための必須条件だと思っているのだが、なかなか普及しない。

 少し古いが、2011年に日本情報システムユーザー協会(JUAS)が調べたときには、普及率は4割でしかなかった。このコラムで紹介した熊本県の運送業H社のシステム開発においても、ITベンダーから弁護士に至るまで、モデル契約書の存在は全く知られていなかった。それゆえ、いまだにあまり普及していないのではないかと思われる。大変残念なことである。

 このコラムでは再三にわたり、システム開発を丸投げすることの弊害を書いてきた。モデル契約書は、まさにシステム開発の丸投げを避けるためのものだ。単に普及するだけでなく、経営者にもその意義を理解していただきたいので、今回はこのモデル契約書に沿って、経営者あるいは発注者が主体的に関わるべきポイントを紹介しよう。

 システム開発においては、経営課題を整理することでシステム化計画が定まり、提案依頼書(RFP)を出してITベンダーを決めた後は、おおむね次のような工程をたどる。

  1. システムの機能あるいはシステムに何をさせるのか(システム化要件)を決める
  2. システムで出す画面や帳票を決める
  3. システム内部のプログラムロジックを考え、データベースなどを設計する
  4. プログラムやデータベースをつくる
  5. プログラムが正しくできているかどうかをテストする
  6. システムがシステム化要件通りにできたかをテストし確認する

 クイズを出してみよう。この6つの工程のうち、経営者あるいは発注者が全面的にコミットする必要がある工程はどれだろうか。あるいは、ITベンダーに任せたほうがよい工程はどれだろうか。