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米国オースティンのファウンドリーを増強

 サムスン電子は、ファウンドリー事業に特化した米国オースティンの半導体工場に既に約170億米ドル(約1兆8300億円)を投資してきた。19年からは同工場で米AT&Tと5Gを活用した半導体生産体制に関する実証実験を行うなど、米国企業との共同研究拠点になっている。サムスン電子は、システム半導体の需要に応じてオースティン工場の生産ラインを増やすという。

 韓国内のファウンドリー事業への投資も続けている。サムスン電子は5月21日、韓国の平沢(ピョンテク)工場に極端紫外線(EUV)露光技術を活用した生産ラインを追加すると発表した。華城(ファソン)工場V1ラインに続くEUV生産ラインである。同月中に着工し、21年下期から稼働する予定である。TSMCが米国に新設するのと同じ5nmプロセスだ。これによって、サムスン電子のファウンドリーは韓国の平沢、華城、器興(キフン)、および米国オースティンの4カ所となり、7nm以下のプロセスの生産体制を整えた。

サムスン電子の平沢(ピョンテク)工場(出所:サムスン電子)
サムスン電子の平沢(ピョンテク)工場(出所:サムスン電子)
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 サムスン電子によると、現在、EUV露光技術を活用した7nmプロセス技術を保有するファウンドリーは同社とTSMCだけである。5GやHPC(High-Performance Computing)、AI(人工知能)など最先端半導体を活用する分野の増加に伴い、ファウンドリー市場も成長するとサムスン電子はみている。同社は、米中の板挟みから抜け出すためにもTSMCとの競争に勝つためにも、20年中にファウンドリーに史上最大規模の投資をするとみられる。

LG電子はソニーではなくサムスンのイメージセンサーを採用

 システム半導体で世界1位という目標に向けて、サムスン電子はイメージセンサーにも惜しみなく投資する。5月19日には、5000万画素のイメージセンサー「ISOCELL GN1」の量産開始を発表した。1.2μm角の画素に2つのフォトダイオードを配置した「デュアルピクセル」技術と、隣接する4画素の信号を加算して1つの画素として扱う「テトラセル」技術を採用し、合焦時間の短縮や高画質化を実現した。ISOCELL GN1は、オッポやビボのスマートフォンに搭載される見込みである。5月15日に発売されたLG電子(LG Electronics)のハイエンドスマートフォン「LG VELVET」でも、ソニーではなくサムスン電子の4800万画素のイメージセンサーが採用された。

 サムスン電子システムLSI事業部センサー事業チーム長の朴庸仁(パク・ヨンイン)氏は自社サイトに「サムスン電子がイメージセンサーに注目する理由」というタイトルで寄稿し、人の目(5億画素といわれる)を超える6億画素のイメージセンサー、匂いや味を感じられるセンサーなどを開発していることを明らかにした。「人のためになるセンサー、人を助ける半導体に向けたサムスン電子のセンサー開発は始まったばかりだ」(同氏)。

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