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 日本政府による半導体製造用材料3品目(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)の対韓輸出管理に伴い、韓国で国産化の動きが加速している。韓国産の品質は今のところ日本産に及ばないが、半導体メーカーや韓国政府の後押しもあって量産が始まった。失注を恐れて韓国での生産を始めた日本の材料メーカーも出てきている。

(出所:PIXTA)
(出所:PIXTA)

交渉か、それとも「脱日本」か

 韓国SK Materials(SKマテリアルズ)は2020年6月17日、フッ化水素ガスの量産を開始したと発表した。同社は19年7月にフッ化水素の開発に着手し、同じSKグループのSK Hynix(SKハイニックス)から資金を得て量産に向けた研究を続けてきた。同年12月にはテスト生産に成功、慶尚北道栄州市の工場に15トン/年規模の生産施設を建設していた。

 SKマテリアルズが量産するフッ化水素の純度は99.999%(9が5個並ぶので「ファイブナイン」と呼ばれる、5N)と、これまで主に日本から輸入してきた11N(イレブンナイン)品と比べて差がある。そのため、SKハイニックスや韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は日本産の輸入を続けながら韓国産も併用するようだ。韓国産は洗浄工程用、日本産はエッチング工程用と使い分けるとの報道もあった。実際、SKマテリアルズのフッ化水素もウエハー洗浄工程で使われるという。

 用途としては限定的だが、国産化の意義は大きい。SKマテリアルズによると、これまで超高純度フッ化水素は全量を海外からの輸入に依存しており、特に5N以上のフッ化水素については9割が日本産だった。同社は今後、2023年の国産率7割を目標に生産を増やしていく。

 一部の日本企業しか造れないとされている12N品についても、韓国Soulbrain(ソウルブレーン)が20年1月に量産体制を整備したという。韓国の産業通商資源部(韓国の部は日本の省に相当)が発表した。同社も従来は原材料を日本から輸入していたが、日本政府の輸出管理を受けて中国からの調達に切り替えた。同社は19年9月にサムスン電子の試験に合格し、フッ化水素を納品している。

 韓国での半導体製造用材料の国産化については、見方が大きく分かれている。半導体製造はEUV(極端紫外線)露光への移行が進んでおり、EUVではさらに純度が高く品質の安定したフッ化水素が必要だ。そのため、国産化を待っている時間はなく日本政府に輸出管理の撤回を交渉するしかないという声もあれば、1年で5N品の量産にこぎ着けたのだから早期に「脱日本」を実現できると期待する声もある。