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サムスン幹部の中国企業入りに非難

 英調査会社のOmdia(オムディア)によれば、Samsung Displayのスマートフォン向けOLEDの市場シェアは19年末時点で86.3%(数量ベース)である。18年の92.6%(同)よりは下がったが、依然として圧倒的なシェアを占めている。

 Samsung Displayが今後もシェアを維持するためには、開発した技術を守ることも重要である。サムスングループは韓国を代表する企業だけに、あらゆるニュースが注目の的だ。20年6月には、かつてSamsung Electronics(サムスン電子)液晶ディスプレー事業部長や同社中国法人社長を務めたWon-ki Chang(チャン・ウォンギ)氏が20年2月に中国のシステム半導体メーカーである北京奕斯偉科技集団(Eswin)の副会長になったという記事が大々的に報じられた。Chang氏は17年にSamsung Electronicsを退職、19年には同社との顧問契約も終了していた。それでも「社長まで務めた人が技術を中国に流出するなんてひどい」などと世論が悪化し、Chang氏は結局、20年6月にEswinの副会長職を辞した。

 相次ぐ技術流出に対し、韓国内では「(Samsung Displayのような)世界シェアトップにある企業の技術を守るのは国家競争力を守ることにもなるから、国外への技術流出をより厳しく罰しないといけない」という声が大きくなっている。

 韓国産業通商資源部(韓国の部は日本の省に相当)は、「産業技術の流出防止および保護に関する法律」を改正し、技術を国外流出させた場合の処罰を強化した。具体的には、従来は「15年以下の懲役または15億ウォン(約1億3400万円)以下の罰金」だったが、これを「3年以上の懲役または15億ウォン以下の罰金」に変更した。従来は懲役刑になったとしても量刑の基準により実際は1年程度にとどまっていたので、厳罰化といえる。さらに、技術侵害が認められた場合、裁判所は被害額の最大3倍となる懲罰的損害賠償命令を下せるようにした。改正法は、20年2月から施行された。

 韓国政府は技術流出を未然に防ぐために、技術保護施策も強化する。Samsung Displayの事件でも登場した国家情報院産業機密保護センターは、韓国企業の先端技術と営業秘密を国外に不法流出させる産業スパイを摘発するための機関であり、入手した情報を全省庁や検察・警察と共有している。加えて、企業や大学に向けた産業セキュリティーのコンサルティングを提供したり、コールセンターにおいて産業スパイの通報を24時間体制で受け付けたりしている。