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 米国政府の輸出規制強化に合わせて、韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)とSK hynix(SKハイニックス)は2020年9月15日から中国・華為技術(ファーウェイ)へのメモリー半導体の供給を停止した。加えて、ファーウェイにスマートフォン向け有機ELディスプレーを供給しているSamsung Display(サムスンディスプレー)とLG Display(LGディスプレー)もディスプレードライバーICに米国の技術が使われていることから、ディスプレーの供給を停止した。LGディスプレーは、ファーウェイにテレビ向け有機ELディスプレーも供給していた。

 韓国各社はファーウェイとの取引を維持するため、米商務省に輸出ライセンスを申請した。輸出ライセンスがなければファーウェイに半導体やパネルを供給できない。だが、世界シェアでトップ5のサムスン電子とSKハイニックスに輸出ライセンスを発行すると規制の意味がなくなるので、韓国勢の申請が受け入れられる可能性は非常に低いとされている。

(出所:Graphs / PIXTA)
(出所:Graphs / PIXTA)

 Kora International Trade Association(韓国貿易協会)の統計によると、20年1~7月の韓国の半導体輸出額は547億4000万米ドル(約5兆7200億円)。そのうち、中国向けは41.1%の224億8900万ドル(約2兆3500億円)、それとは別に集計している香港向けは20.8%の113億7500万ドル(約1兆1900億円)だった。香港経由で中国の各地に送られる半導体が多いとされており、韓国の半導体輸出先として中国の占める割合が非常に大きいことが分かる。

 その中でも、ファーウェイは特に大口の顧客だ。2019年のサムスン電子の売上高全体に占めるファーウェイ向けの割合は3.2%の約7兆3700億ウォン(約6600億円)、同じくSKハイニックスでは11.4%の約3兆ウォン(約2700億円)だった。ファーウェイに供給できなくなったことで在庫負担が大きくなり、メモリー半導体の価格が下落するとの懸念もある。

 スマホ市場では、ファーウェイの出荷が減ると、OPPO(オッポ)やvivo(ビボ)、小米(シャオミ)といった中国勢のシェアが増えると見込まれており、3社がメモリー半導体やディスプレーの新たな顧客になるという展望もある。しかし、米国政府が新たな規制対象にする可能性もある。

 ファーウェイへの輸出規制は今に始まったことではなく、前々から進められていたことである。そのため、韓国各社はファーウェイに代わる取引先を見つけるなど影響を最小限に抑える準備をしてきたという。