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 ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)を韓国Hyundai Motor(現代自動車)に売却するために協議中であると、米Bloomberg(ブルームバーグ)が2020年11月9日に報じた。この報道を受けて韓国では期待が高まる一方、現代自動車がボストン・ダイナミクスを本当に“操縦”できるのか不安視する声も上がっている。

 ブルームバーグの報道によれば、ボストン・ダイナミクスの売却額は最大で10億米ドル(約1050億円)だという。売却条件はまだ確定しておらず、交渉が決裂する可能性もある。現代自動車は韓国メディアに向けて「グローバル企業として常に多様な戦略的投資と提携の機会を模索している。しかし、(本件に関しては)何も決まっていない」とのコメントを発表した。

 ボストン・ダイナミクスは、SBG傘下のロボットメーカー。1992年に米Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)発のベンチャーとして設立された。2013年に米Google(グーグル)が買収し、18年にSBGが買収した。現在はSBGの完全子会社である。2足歩行ロボット「Atlas」や4足歩行ロボット「Spot」を開発した会社として知られている。

Boston Dynamicsの4足歩行ロボット「Spot」(出所:日経クロステック)
Boston Dynamicsの4足歩行ロボット「Spot」(出所:日経クロステック)
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 現代自動車の株主が参加するコミュニティーサイトでは、「ボストン・ダイナミクス買収は現代自動車にとってチャンス」「スマートモビリティーを目指す現代自動車とボストン・ダイナミクスの技術は相性がよい」という意見が多い。一方で、「グーグルもSBGも収益化できなかった会社を買収して大丈夫なのか」「ボストン・ダイナミクスの技術移転も含む契約内容なのか気になる」といった意見もあった。

自動車メーカーからの脱却を急ぐ

 現代自動車は最近、ロボティクスへの投資を進めている。ボストン・ダイナミクスの買収が現実となれば、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)会長であるEui-sun Chung(チョン・ウィソン)氏が就任してから最初の大型買収となる。同氏は20年10月14日に首席副会長から会長に昇格した。現代自動車グループのトップ交代は、20年ぶりのことである。

 なぜ現代自動車によるボストン・ダイナミクス買収の話が浮上したのか。実は、チョン氏が会長に就任したときのあいさつに、その兆候があった。同氏は以下のように述べていた。