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電装に注力するLGにとってもアップルカーは一大チャンス

 アップルカーの受注はスマートフォン事業から撤退し、車載電装に注力するLGエレクトロニクスにとっても大きなチャンスだ。LGエレクトロニクスは、車載インフォテインメント事業を担うVS(Vehicle Component Solutions)事業本部と、自動車用ライト事業を担当する子会社のオーストリアZKW、マグナとの共同出資会社LG Magna e-Powertrainの3つの軸で電装事業を成長させようとしている。

 LGエレクトロニクスは電装事業拡大のため、米Qualcomm(クアルコム)と次世代コネクテッドカー向け5G(第5世代移動通信システム)プラットフォームを開発する。5Gプラットフォームは自動車とあらゆるモノをつなぐ通信であるV2X(Vehicle-to-Everything)のために必要だ。AI(人工知能)アシスタントや自動運転を利用するために処理すべき情報量を考えると自動車に5G通信は欠かせなくなるからだ。LGエレクトロニクスとクアルコムは04年からテレマティクス技術開発で協力。17年には次世代コネクテッドカーソリューション共同開発、19年にはLGエレクトロニクスが独自開発したインフォテインメントプラットフォーム「webOS Auto」のエコシステム拡大に向けた提携も結んでいる。

 LGエレクトロニクスだけでなく、LGグループとアップルのシナジー効果も期待できる。LGグループのLG Display(LGディスプレー)は車載用有機ELディスプレー、LG Innotek(LGイノテック)は車載用カメラ、LG Hausys(LGハウシス)は自動車シート用生地、LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)はEV向けバッテリーに注力し、世界市場でも高いシェアを占めている。

 韓国の証券業界は「マグナは以前アップルカーのプロジェクトに参加しており、LGもアップルに納品しているだけに両社とアップルの関係は良好」「LGエナジーソリューションを中心にLGグループがEVの各種部品を生産し、マグナの受託生産工場でアップルカーを大量生産できる。LGとマグナは十分アップルカーを生産できる。技術的な問題はない」「LG Magna e-Powertrainのアップルカー受注は車の電動化が本格的に始まったことを意味するもので、自動車業界に大きな変化をもたらすだろう」「LG・マグナ・アップルの協力がEV生産で終わらず幅を広げる可能性もある」と好意的に評価している。

 LGエレクトロニクスは21年1月に行われた20年10~12月期の決算説明会で「LG Magna e-Powertrainの新規受注は22年、売り上げは23年から発生する見込みで、21年に電装事業の黒字転換を目標にしている」と説明した。同社の今後の業績は、アップルカーを受注できるかどうかで、大きく左右されるだろう。