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韓国では通称「ネットフリックス法」を施行、インフラただ乗り見直し議論も

 こうした経緯もあって、韓国では20年12月に通称「ネットフリックス法」と呼ばれる法律が施行された。1日平均利用者100万人以上、韓国内総トラフィック1%以上を占める事業者(グーグル、フェイスブック、ネットフリックス、ネイバー、カカオ、韓国Wavve)は通信サービスの品質を維持する義務があるとする法律だ。21年12月7日には施行1年を迎え、より細かなガイドラインも公表された。このネットフリックス法は、トラフィックの過度な集中を防止するため技術的措置を取ること、さらに通信事業者と協議することといった内容である。コンテンツプロバイダーが通信事業者にネットワーク使用料を払わないといけないという法律ではない。

 ネットワーク使用料は、通信事業者が定める約款をベースに交渉で金額が決まる。そのため、算定基準が不透明だと韓国のインターネット企業からも不満の声が漏れている。

 韓国の国会では21年9月、グローバル企業のインターネットインフラへのただ乗り防止を狙い、電気通信事業法改正案の議論が始まった。「情報通信網サービス利用契約の締結」「一定規模以上のトラフィックがあるコンテンツプロバイダーが正当な理由なくネットワーク使用料を支払わずネットワーク連結を要求する行為を禁じる」という条項追加を検討している。通信政策を担当する科学技術情報通信部(省)は、「ネットワーク使用料は事業者間の交渉で決まるものではあるが、全体的なガイドラインを提示できる法律を慎重に議論すべき時期になった」とコメントしている。

 欧州でも21年11月29日、英Vodafone Group(ボーダフォングループ)やドイツDeutsche Telekom(ドイツテレコム)、スペインTelefonica(テレフォニカ)など通信事業者のCEO(最高経営責任者)13人が連名で、世界の巨大IT企業に対して通信インフラコストの一部負担を求める声明を発表した。世界的にもネットワークインフラのコスト負担を巡り、見直しの機運が高まっている。

 ネットフリックスとSKBの訴訟は21年12月中旬から二審が始まる。複数の韓国メディアによると、二審前にネットフリックスCEOのReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏が韓国を訪問し、SKBの親会社であるSKテレコムCEOの朴正浩(パク・ジョンホ)氏と会談する予定と報じた。二審の前に両社が電撃和解する可能性もある。