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 成長著しいイメージセンサー市場にて、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)とソニーグループ(以下、ソニー)が激しいシェア争いを繰り広げている。サムスン電子は、2030年に非メモリー半導体であるシステム半導体市場で世界1位を目指している。同社は、ソニーが絶対王者として君臨するイメージセンサー市場を果敢に攻める。しかし21年の同市場のシェアは互いに譲らず、両社のシェアは縮まっていない。新たなプレーヤーも同市場に参入しており、22年はさらに激しい争いになりそうだ。

21年のスマホ向けイメージセンサー市場の売上高シェア
21年のスマホ向けイメージセンサー市場の売上高シェア
ソニーが1位を守った。2位のサムスン電子とのシェアの差は若干広がっている(出所:米Strategy Analytics)
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 米国の調査会社であるStrategy Analytics(ストラテジー・アナリティクス)は22年3月末、21年のスマートフォン(以下、スマホ)向けイメージセンサー市場の企業別売上高シェアを発表した。同調査によると1位はソニーで、前年から1ポイント減となる45%のシェアとなった。2位はサムスン電子だ。同3ポイント減の26%のシェアである。3位は米OmniVision Technologies(オムニビジョン)であり、同1ポイント増の11%のシェアだ。

 サムスン電子は20年、同市場においてソニーとのシェアの差を17%まで縮めた。しかし21年はソニーとのシェアの差が19%と若干ひらく結果となった。

 サムスン電子は02年、イメージセンサー市場に進出し、15年には早くも業界2位のシェアを確保した。近年はスマホ向けに小型で高解像度のイメージセンサーを次々に投入し、シェア拡大を続けてきた。例えば19年には業界初となる、0.8μmの1ピクセル(画素)サイズで1億800万画素のイメージセンサー「ISOCELL Bright HMX」を発表。21年にはやはり業界初となるピクセルサイズ0.64μmの2億画素イメージセンサー「ISOCELL HP1」を公表している。

 サムスン電子は、ソニー超えを目指すために生産設備の拡充にも余念がない。自社のDRAM生産ラインをイメージセンサー生産ラインに変更したばかりでなく、世界3位のファウンドリー事業者である台湾聯華電子(UMC)とも提携。イメージセンサーの生産の一部を委託した。UMCが台湾に建設中の新しい工場では、23年からサムスン電子のイメージセンサーを量産する計画だという。サムスン電子はこうした生産ラインを確保することで、イメージセンサー市場においてシェア30%台を狙う。

 22年3月に開催されたサムスン電子の株主総会において、同社デバイスソリューション部門社長兼CEO(最高経営責任者)のKye Hyun Kyung氏は、「微細ピクセル技術の優位性と、1億画素イメージセンサーの普及で、21年のイメージセンサーのビジネスは顕著な成長を成し遂げた」「22年はイメージセンサーの微細ピクセル技術のリーダーシップを持続し、普及クラスのモバイル製品にも供給を拡大する」と説明した。市場シェアは若干減少したものの、売上高は着実に伸びていることを強調した。

 シェア拡大に欠かせない新規顧客獲得も進んでいる。例えばサムスン電子のイメージセンサー「ISOCELL GN5」とディスプレーは、22年4月に発売された中国vivo (ビボ)の最新の折り畳みスマホ「X Fold」に採用された。ISOCELL GN5はピクセルサイズ1.0μmで5000万画素のイメージセンサーだ。速さと精度を向上したオートフォーカス機能が特徴である。

 22年3月末には米Motorola Mobility(モトローラ・モビリティ)が開発中のスマホの旗艦モデル「Motorola Frontier」とみられる写真がネット上に流出した。この写真からは、サムスン電子の2億画素のイメージセンサーISOCELL HP1をMotorola Frontierが採用した可能性が見て取れる。