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 韓国の公共放送であるKBSをはじめとした同国の複数のメディアは2022年5月4日から5日にかけて、日本経済新聞が同2日に公開した記事「日米、最先端半導体で技術協力 2ナノなど開発・量産」に触れる形で、大きく報じた。半導体素材を生産する日本と、安定的な半導体供給網確保に力を入れている米国がタッグを組むことで、韓国の半導体産業の立ち位置に変化が生じる可能性がある。同20~22日には、バイデン米大統領が訪韓を予定する。それに合わせて韓国政府がどのような対応を打ち出すのかに注目が集まる。

サムスン電子の韓国・平沢(ピョンテク)市にある半導体工場
サムスン電子の韓国・平沢(ピョンテク)市にある半導体工場
(出所:韓国Samsung Electronics)
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 複数の韓国メディアは、日経新聞の記事にある「日米両政府は最先端の半導体の供給網(サプライチェーン)構築で協力する。回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートルより進んだ先端分野での協力や、中国を念頭に置いた技術流出防止の枠組みづくりなどで近く合意する」「台湾勢などに調達を依存する危機感から日米連携を強化する」という部分を強調。韓国政府の新たな対応の必要性について触れる記事が多く見られた。

 現在、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は、ファウンドリー市場で圧倒的な世界1位である台湾TSMC(台湾積体電路製造)に追い付き追い越そうと激しい競争を繰り広げている。そこに日米が、最先端半導体である2nm世代プロセスの工程でタッグを組むことで、競争の構図に変化が生じる可能性がある。

 韓国政府は21年5月、半導体産業の競争力強化を目指す国家戦略「K-半導体戦略」を発表した。冒頭の報道を受けて韓国内では、K-半導体戦略を上回る強力な支援策と、米国とのより強い半導体同盟が必要という声が高まっている。

 22年5月10日に韓国大統領に就任する尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は、「国家経済と安全保障の核心は半導体」「半導体超強大国を目指す」「半導体・バッテリー・AIなど先端産業の競争力確保」「21年に1280億米ドル(約16兆7600億円)だった半導体輸出額を、27年には1700億米ドル(22兆2600億円)に拡大する」などと繰り返し発言している。就任後に半導体戦略の強化策を打ち出す可能性がある。

 韓国メディアは22年3月、米政府が韓国と台湾、日本に「チップ4(Chip4)同盟」を提案したと報じた。その時点では、サムスン電子と韓国SK Hynix(SKハイニックス)の中国事業を考慮すると米政府の提案は受け入れがたい、というのが韓国内の主な反応だった。しかし政権交代と日米半導体協力の報道の後は、韓国内も「チップ4同盟もやむなし」といった受け止め方に変わりつつある。