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 韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2022年10月7日(現地時間)、2022年7~9月期の暫定業績を発表した。売上高は76兆ウォン(約7兆8000億円)で前期比1.55%減少、営業利益は10兆8000億ウォン(約1兆300億円)と同23.4%も減少した。韓国の証券業界は、世界的な景気悪化とインフレの影響でメモリー半導体の価格が下落していることから、サムスン電子の業績も78兆ウォン(約8兆円)前後、営業利益は11兆8000億ウォン(約1兆2000億円)前後に落ち込むと予想していた。しかし暫定業績はそれを下回る結果となった。

サムスン電子が2022年10月に開催した次世代半導体と新技術を公開するイベント「Samsung Tech Day 2022」の様子
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サムスン電子が2022年10月に開催した次世代半導体と新技術を公開するイベント「Samsung Tech Day 2022」の様子
(出所:Samsung Electronics)

 サムスン電子の業績はメモリー半導体の価格に大きく依存する。メモリー半導体の価格に左右されない経営体制にしていくため、同社は2030年までにシステム半導体(非メモリー半導体、ファウンドリーなど)でも世界1位になることを目標に掲げる。半導体を委託生産するファウンドリー事業は、注文が減っているとはいえ、メモリー半導体よりは業績が安定している。

 世界的にメモリー半導体が低迷する中、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)は2022年9月29日(現地時間)の業績発表において、需要に応じてメモリー半導体の生産調整を実施することを明らかにした。日本のメモリー半導体大手のキオクシアも2022年10月以降、ウエハー投入量の約3割を削減すると公表している。メモリー半導体市場世界シェア1位のサムスン電子も減産を発表するのではないかとみられていた。ところが同社はメモリー半導体の減産計画はないことを表明した。

 サムスン電子は2022年10月5日(現地時間)、米シリコンバレーで次世代半導体と新技術を公開するイベント「Samsung Tech Day 2022」を開催した。この場で同社メモリー事業部副社長のハン・ジンマン氏は、「現時点で(メモリー半導体の減産に関して)議論したことはない」「人為的な減産はしない」「ただし、市場に深刻な供給不足または供給過剰が起こらないよう努力している」と説明した。

 韓国メディアや証券業界は、半導体業界において好況と不況を繰り返す「シリコンサイクル」の周期がどんどん短くなっていることから、サムスン電子は不況サイクルから好況サイクルに移ったらすぐ利益を出せるように備える戦略だと分析している。

米シリコンバレーで次世代技術のロードマップを発表

 サムスン電子は同イベントで、次世代半導体技術の量産計画も公表した。例えば2023年に、世界初となる第5世代の10nm世代プロセスでDRAMを量産する。同社が「V-NAND」と呼ぶ、第9世代の3次元NAND型フラッシュメモリーも2024年までに量産する。1000層まで積層したV-NANDも2030年までに開発する計画だ。

 サムスン電子のV-NANDは2022年9月時点で第7世代の176層まで積層が進んでいる。2022年中には第8世代の230層以上積層したNAND型フラッシュメモリーの量産を目指す。

 ただNAND型フラッシュメモリーの積層数では韓国SK Hynix(SKハイニックス)が2022年8月、世界最高の238層の開発に成功している。これまでサムスン電子は、業界最高の積層数を競うよりも、現行製品の完成度を高める方針を示していた。だが今回、2030年までに1000層まで積層数を増やす計画を明らかにした。これは積層数競争でも、技術優位性を守る戦略を示した形になる。積層数を増やしながらも、セル同士が干渉せずエラーが起きないようにする技術を保有しているとも説明した。