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 歯ブラシなど手掛けたことがなかった京セラだが、運よくソニーの新規事業創造プログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」に“弟子入り”して開発を進めることになった。しかし、東京・品川のソニー本社ビル13階に入居した京セラの開発チームに与えられた期間はなんと半年。ベンチャーのごとく、爆速で開発を進めるハードな日々が始まった。

 2018年10月に、ソニーが運用するSSAPに参加した京セラの開発チーム。後に「Possi(ポッシ)」と名付けられた、幼児用の仕上げ磨き専用歯ブラシを開発することになるチームは、プロジェクトリーダーを務めた京セラ研究開発本部メディカル開発センターの稲垣智裕氏を含め5人の部隊だった。

 なぜ、SSAPに参加した京セラの開発チームが5人になったのか。Possiの開発でプロデューサーの役割を務めた、ソニー Ideation&Incubation部Ideation Service Team統括課長の宮崎雅氏は「最初は稲垣さんが来て、そのときはチームになっていなかった。そこで我々が、1人じゃ事業はできないので、ちゃんとチームを組んできてくださいというお願いをした」と話す。稲垣氏は「ソニーに入居するときには、機動性がある事業をつくれるメンバーを構成してきてくださいという話をされました。もともと、振動アクチュエーターを開発したときは3人のチームだったが、あと2人を足して5人になった」と振り返る。

ソニー Ideation&Incubation部Ideation Service Team統括課長Acceleration Service Teamプロデューサーの宮崎雅氏
ソニー Ideation&Incubation部Ideation Service Team統括課長Acceleration Service Teamプロデューサーの宮崎雅氏
(写真:加藤康)

 開発をスタートするに当たって最初に求められたのは、目標を設定することだ。SSAPはさまざまな形で事業化を支援するとはいえ、大企業に所属する人間からすると異例のスピード感が要求される。

 今回の場合、開発期間は2018年10月からの約6カ月で、ビジネスとして回ることを確かめた上で2019年7月にはクラウドファンディングを開始するという目標が設定された。「SSAPでは最初に目標を決め、そのスケジュールは絶対にずらさない。もしうまくいかないようだったら、途中でやめることも辞さないという、時間厳守のプログラムになっている」(宮崎氏)。