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 「できる限りのことに対応した」。国土交通省の眞鍋純住宅局長は2020年3月施行の改正建築士法について手応えを口にする。

 ただし、一連の制度改革で積み残した課題もある。例えば、製図試験の見直しだ。日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の建築設計3会による18年6月の「建築士資格制度の改善に関する共同提案」では、CADによる製図試験の導入などを求めたが、見直しには至らなかった。

見直し提案の一部は見送り
見直し提案の一部は見送り
設計3会が2018年6月に共同提案した建築士資格の運用の見直しに関する項目(資料:設計3会の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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CAD化への道は険しく

 現行の製図試験は、事前に公表された課題について、6時間30分の制限時間内に設計図書を作成するものだ。配置図、平面図、断面図、面積表のほかに計画の要点などを、全て鉛筆で記入しなければならない。

 設計3会は、実際の設計業務ではCADが主流で、製図板やT定規などを用いた手描きによる製図試験は実態と合っていないと指摘。記入すべき内容は多岐にわたり、受験に特化した特殊な勉強が必要になっているとして、試験の内容・方法の見直しを提案した。

 国交省は製図試験のCAD化などについて「今後、そうした方向での検討は避けられない」(眞鍋住宅局長)とするものの、課題を整理したうえで、中期的に取り組む考えだ。

 現行の試験をCADに置き換えるだけで同じように設計・製図能力を問えるか検討が必要だ。また、CADによる試験を導入する場合、ソフトウエアや試験環境などについて公平性を確保する必要がある。試験中に発生する端末トラブルなどについても考えなくてはならない。

 日本建築学会は、2次元CADによる製図試験の導入に注文を付けた。性急に議論を進めると、3次元での設計が広がりつつある実態に合わなくなると訴える。日本建築学会の会長を務めた早稲田大学の古谷誠章教授は、「製図技術の習熟は大学に委ね、設計の能力だけを問うような方法も検討すべきだ」と話す。