全1912文字
PR

2020年3月施行の改正建築士法は、目の前の実務や建築士の将来にどのような影響を及ぼすのか。国土交通省の眞鍋純住宅局長に聞いた。話題は建築士の在り方から、AI(人工知能)の活用などにも及んだ(インタビューは19年12月に実施)。

国土交通省の眞鍋純住宅局長(写真:日経アーキテクチュア)
国土交通省の眞鍋純住宅局長(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

建築士試験の早期受験が可能になります。

 この10年間で一級建築士試験の受験者数は3分の2に減りました。一方で、建築士の仕事が減ったわけではない。むしろ幅が広がっていることを考えると、今のままでは役割を担えるだけの人材を確保できないでしょう。20~30代の若い人にもトライしていただき、建築の世界で活躍してほしいと思います。

研究や教育への悪影響を懸念する声もあります。

 いろんな意見があるとは思いますが、例えば、法学部の学生が在学中に司法試験に挑むことが、法律を学ぶことの妨げになるという批判はあまりないのでは。建築士試験についても、受験に向けて技術や法律に関する知識を身に付けることは、研究などの妨げになるというより、むしろプラスの側面が多いと思います。

2006年改正で大幅に絞った実務経験の対象を広げ、調査や研究、専門工事なども認めました。

 設計・工事監理のような古典的な実務はもちろん重要ですが、例えばこれからは、新しい建物を設計するだけでなく、リニューアルのように既にあるものを活用する仕事がどんどん増えていくでしょう。そうした領域でも建築士が活躍できるような制度であるべきだと思っています。だからといって建築士の水準を下げるようなことはしません。品質や安全性に影響が出るようでは本末転倒です。建築士に求める技術力と法律の知識レベルは下げるべきではない。

 さらに言えば、建築士には高い倫理観も必要です。構造安全性にしても防火にしても、人の命に直結しますから。残念ながら、違反建築物や法律に適合していない建物は世の中にいっぱいありますし、実際に続々と見つかっています。こうした出来事について、建築士の責任は重い。どんなに建築士の仕事が広がっても、そのような建物を生み出さないための技術力や法令の知識、生み出してはならないという倫理観をキープしなければならないと思います。