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 店内にあるのは棚と商品のみ。キャッシュレス決済に加え、店内に店員はおらずレジもない。そんな「ないないづくし」のコンビニが登場した。ローソンが富士通と共同で2020年2月26日にオープンした「ローソン富士通新川崎TS レジレス店」だ。富士通グループの従業員が対象で2020年5月25日までの限定の店舗だが、ローソンは同様の仕組みを持った店舗の出店を2020年夏に予定している。

ローソン富士通新川崎TS レジレス店の外観
ローソン富士通新川崎TS レジレス店の外観

 事前の会員登録が必要だが、この店舗での買い物は至ってシンプルだ。棚から買いたい商品を手に取って、あとは店を出るだけ。レジの行列に並んだり、自分でバーコードをスキャンしたり、決済端末にスマートフォンをかざしたりといったことが必要ない。ローソンの牧野国嗣理事執行役員オープン・イノベーションセンター長は「レジに並ばずに済む買い物体験をお客さまに提供する」と2020年2月18日に開催した記者会見で狙いを語った。利用客にとっては従来店舗との違いに戸惑うほどの新しい体験だろう。

店内の天井に設置したAIカメラ
店内の天井に設置したAIカメラ

 レジをなくせる秘密はAI(人工知能)カメラと重量センサー付きの商品棚にある。こうしたハードと認識ソフトをセットにした製品「Zippin」を採用した。Zippinは無人店舗向け機器・ソフトのベンチャー、米VCOGNITION TECHNOLOGIESが開発・提供している。今回は23.2平方メートルの店舗面積に対して28台のAIカメラを設置した。このカメラによって利用客を捕捉しながらどの商品を手に取ったかも同時に判断する。ローソンは2019年5月から富士通と共同で4カ月ほどをかけて、米国でZippinが実用に耐えるかの技術検証をした。