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 太陽光や風などの自然エネルギーを活用した設計で知られ、日本建築学会賞(作品)やJIA日本建築大賞を受賞した小堀哲夫氏(小堀哲夫建築設計事務所代表)。ガラストップライトを用いる機会が多いことから、雨漏りとともに結露には気を配る。結露による水漏れを防ぐには、アルミ製支持材の断熱や結露受けの設置が重要だと強調する。

屋根やトップライトから光や風を取り入れる設計が多いですね。

 屋根から光を入れようとすると、必然的にガラスを使うことになります。一方、屋根には雨を止めるという大事な役割もあり、それを満たす上で、勾配をつける、開放する、シールがなくても成立する――。この3つをいつも基本にしています。例えば「NICCA INNOVATION CENTER」(ニッカ・イノベーション・センター、2017年)は、ガラストップライトを設けた切妻屋根で、といは付けずに軒先を開放し、雨や雪はその下の屋根スラブに流しています。

小堀哲夫建築設計事務所代表の小堀哲夫氏(写真:日経アーキテクチュア)
小堀哲夫建築設計事務所代表の小堀哲夫氏(写真:日経アーキテクチュア)
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「NICCA INNOVATION CENTER」(2017年)の大通りに面した東向きの外観。4階建ての2階から4階までがアルミルーバーで覆われている(写真:新井 隆弘)
「NICCA INNOVATION CENTER」(2017年)の大通りに面した東向きの外観。4階建ての2階から4階までがアルミルーバーで覆われている(写真:新井 隆弘)
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 屋内に光を導きたいとはいえ、屋根にガラスを使うことは、慎重に進めなければなりません。フラットなガラス屋根やキャノピーが悲惨な状態になっているのをよく見掛けますが、高温多湿の日本では当然の帰結でしょう。設計者が思うようにはメンテナンスされないことも想定できたはずです。だから屋根に勾配をつけることは基本だと思います。

 また、ガラストップライトはシールなしで成立することが重要です。理由は2つ。シール材は紫外線で劣化して10年程度しか持たないこと、シール材が切れると毛細管現象による漏水の他、天井際にたまった熱気が外気に触れ、冷やされて結露が生じるからです。

NICCA INNOVATION CENTERのガラストップライトを設けた切妻屋根。光を取り入れるLow-Eガラスの屋根は、直下の屋根スラブに雪を落とすために切妻とした(写真:吉田 誠)
NICCA INNOVATION CENTERのガラストップライトを設けた切妻屋根。光を取り入れるLow-Eガラスの屋根は、直下の屋根スラブに雪を落とすために切妻とした(写真:吉田 誠)
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 シール材は10年ごとに更新してほしいとクライアント側に伝えても、往々にしてそのままですから、私は必ず結露受けを付けます。それも、ただ付ければいいわけではなく、水勾配をきちんと取って設置します。そして最後は現場で水を垂らして実験し、水のルートと漏水の有無を確認します。また、アルミ製のマリオンの断熱性も重要で、マリオンが結露しないことも現場で確認します。雨漏りだと思っていたら、実は結露による漏水だったという建物は結構多いと聞きます。

内どいの陸屋根はプールをつくるようなもの

この他、小堀さんが防水で基本にしていることは何でしょうか。

 防水を考える上では、水の自然な流れに素直になることとメンテナンスがしやすいことも大切です。「梅光学院大学 The Learning Station CROSSLIGHT(ザ・ラーニング・ステーション・クロスライト)」(19年)では、陸屋根のスラブと開放型の大きな軒どいが一体となるようにデザインしました。このといならば上からのぞきやすく、詰まった場合もすぐに分かります。

「梅光学院大学 The Learning Station CROSSLIGHT」(2019年)では開放型の大きな軒どいを設けた(写真:新井 隆弘)
「梅光学院大学 The Learning Station CROSSLIGHT」(2019年)では開放型の大きな軒どいを設けた(写真:新井 隆弘)
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 陸屋根の建物では、内どいに頼っている場合が多いですね。といを見せたくないという気持ちは分かりますが、それはプール状の屋根を信じるということであり、実際には漏水の最大の原因になっています。私は陸屋根にすることは少ないですが、するときは必ずといを外周部に設けています。

 現在設計中の建物では、庇(ひさし)状の傾斜屋根にシート防水を採用する予定です。私が久米設計に在籍していた15年くらい前までは、屋根はアスファルト防水が原則で、シート防水を使ってはいけませんでした。ウレタン防水もバルコニーにしか使ってはいけなかった。ところが今はウレタン防水の屋根が増えているし、シート防水も大きく進化しています。

 住宅の地下躯体ではタケイ式防水をよく採用しています。コンクリート自体が防水層になるので、二重壁にして内側にといをつくる必要がありません。通常だと必要なピーコン(コンクリート打設時のセパレーターの穴)のモルタル補修も不要です。施工費を抑えられる上、10年保証も付きます。

 矩計(かなばかり)図には設計者の思想が表れています。設計者が水密・気密・断熱の3つをどれだけ真剣に考えたか、矩計図を見れば分かると思います。