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 プロ野球やJリーグのキャンプ地として知られる宮崎県日南市は、住民や地方税のデータを活用して施策の効率化を進める全国でも珍しい実証事業を行った。同市はデータを駆使して政策の意思決定のプロセスを変えようとしている。

写真 日南市役所
写真 日南市役所
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 日南市がデータを活用して施策の見直しを試行した例の1つが「木造住宅耐震化普及促進事業」である。同事業は木造住宅の所有者らが耐震化の工事をする場合、国土交通省や自治体が補助金を支給する。

 ところが、日南市で耐震化工事を担う総務課危機管理室は耐震化が必要な対象家屋の所有者らへの周知が徹底できず、耐震性の診断などを実施する戸数が予定数に達しないまま制度が十分に活用できていないという問題を抱えていた。日南市を含む宮崎県は「南海トラフ巨大地震」が発生すると最大震度7が想定されているだけに家屋の耐震化は急務だ。

 そこで日南市は耐震化工事が必要な地域を特定して集中的な周知活動を実施するため、築年数が多い木造一戸建て住宅の所在地を示す地図を作製した。この地図に使われているのは、市区町村の税務課が固定資産税の課税額を計算するために保有している築年数などのデータである。

図 固定資産税のデータを基に築年数が多い木造一戸建て住宅の所在地を示した地図
図 固定資産税のデータを基に築年数が多い木造一戸建て住宅の所在地を示した地図
(出所:日南市)
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 通常、自治体が組織間の壁を越えてデータを共有するのは容易ではない。税務課が保有している課税データを他部署に提供するには相応の理由が必要だ。地方税法の守秘義務によって、税務課のデータは他部署に理由なく開示できないからだ。部署間の人材交流が乏しければ、互いにどんなデータを保有しているかも知らない場合が多い。